31: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2016/03/02(水) 13:47:00.56 ID:1NgH7uH8O
武蔵「旗艦だと?」
本来であれば、護衛艦艇は船団司令部の隷下に加わるのが常である。
つまり、輸送船はもちろん、一時的にではあるが、集められた護衛艦艇も船団司令官の指揮に従うことになっている。
そして、船団司令官は艦に乗り、直接護衛の指揮を執るはずである。
旗艦は、司令官の乗る船。
当然だが、艦娘である武蔵には司令官を乗せることはできない。
提督「お前の疑問もわかる。今回だけの特例だ」
武蔵「特例?」
提督「そうだ。ところで武蔵、本邦の護衛船団の弱点がわかるか?」
なるほど、そういうことか。
武蔵は提督の問い掛けだけで合点がいった。
護衛船団は臨時で集められる。
しかも、船団司令官を除いて一航海ごとに入れ替わるものであった。
言って見れば、寄せ集めの集団である。
となれば、チームワークは期待できない。
事実、その不足によって、過去、大損害を被ったこともある。
武蔵が理解したことを覚ったのであろう。
提督はニヤリと唇の端を上げ。
提督「今回の護衛艦艇は全部うちから出す。大本営にも話は通してある。護衛艦艇の指揮はお前が執れ」
どこか突き放したような雰囲気すらある提督ではあったが、その中身が情に溢れていることは武蔵とて知っていた。
だからこそ、わけのわからない物を運ぶ為に麾下の艦娘の命を危険に晒すことをよしと思えなかったのであろう。
確かに、指揮系統を分割するリスクはある。
しかし提督はそのリスクを引き受けてでも、指揮権をもぎ取ってきたのだ。
船団司令部の指揮よりも、自分達を信頼してくれたのだ。
だから。
武蔵「了解した。この武蔵が護衛につくのだ。吉報以外にはあり得ん」
武蔵はそう答えていた。
柄にも無く大言壮語であったか。
あの時はそう思わなかったが、今思い返すと、僅かに頬に朱がさす。
幸いにして褐色の肌が、それを隠してくれたようで、周囲にそれをさとった者はいないようであった。
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