過去ログ - 提督「不幸な男女と」
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34: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2016/03/02(水) 13:49:37.61 ID:1NgH7uH8O
日が海に飲まれ、海にも夜の帳がおり、真っ暗になっていた。


利根「やれやれ、じゃな」

瑞鶴「ほんっと、あいつら、何考えてるの!?」


あの後も故障した輸送船の破棄を提案したが、拒否され続けた。
そしてその修復を終え、その場を離れることができたのは、日が半分以上沈んでからのことであった。


武蔵「まぁ、そう言うな。よほどに大切な積荷なのだろう」


武蔵も立場上はそうたしなめたが、思っていることは瑞鶴達と同じであった。
一つを護るために、全てを捨てるのか。
そう言っても、聞き届けられることは無かった。
それどころか、一応は修復したとはいえ、完全に直ったわけではない。
速度を落とした輸送船に引きづられ、艦隊もその速度を大幅に落としている。
このままいけば、明日の朝には追いつかれる。
そのことが皆の心に忸怩たる思いを抱かせていた。


武蔵「そろそろか」


ちらりと時計を見た武蔵は、そう呟いた。


武蔵「筑摩、照明弾と探照灯は使えるか?」

筑摩「え? 使えますけど……」


筑摩は一瞬、何のことだかわからなかった。
敵艦隊が迫っているとはいえ、会敵は早くとも明朝。
夜戦が発生するとは思えなかったからだ。


武蔵「なに、そろそろ航空隊が帰ってくる頃だろうと思ってな」

利根「……武蔵、まさかお主」

武蔵「なに、私も顰みに習おうと思っただけだ」


敵の艦隊は確かにまだ遠い。
しかしそれは、こちらの偵察機が触接した艦隊でしかない。
偵察機が発見できなかった艦隊が近くにいる可能性もある。
或いは、潜水艦が潜んでいる可能性も十二分にあった。
遮蔽物が僅かも存在しない海原。
数キロ先の煙草の火さえ砲撃の的となると言われる闇夜の海にあって、それはあまりに攻撃を受けるリスクが大きすぎる。


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