過去ログ - 提督「不幸な男女と」
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35: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2016/03/02(水) 13:50:38.56 ID:1NgH7uH8O
翔鶴「あの、お気持ちは嬉しいのですが……」


そう言った翔鶴は、ちらりと船団司令部がある方を見た。
しかし武蔵は、それを一笑にふすと。


武蔵「なに、責任はこの武蔵が負うさ。さぁ、照明弾を上げてくれ。探照灯も照射する。英雄達の帰還だ。せいぜい派手に迎えてやろうではないか!」


豪快な笑みを浮かべた。


利根「そうじゃの。報告によれば、敵空母2杯を沈めたそうじゃから、派手に迎えてやるのじゃ! なぁ、筑摩!」

筑摩「はい、利根姉さん!」


利根、筑摩。2杯の重巡から、照明弾が次々に打ち上がる。


翔鶴「みなさん……」

瑞鶴「みんな……」


2杯の空母が、目尻に涙を浮かべる。


瑞鶴「翔鶴姉! 絶対に全機無事着艦させよう!」

翔鶴「そうね、瑞鶴!」


それはさながら、凱旋式典の様であった。
探照灯が飛行甲板を照らし、空には幾発の照明弾がさながら花火の様に打ち上げられ、漆黒の闇夜の中、光に包まれた艦隊だけが浮かび上がった。
当然、船団司令部からは止むことなく「敵に発見されたらどうするつもりか」「船団護衛を何と心得ているのか」「護衛は気でも振れたのか」との抗議が届いたが。


武蔵「黙れ! 搭乗員達は命懸けの攻撃を成功させてきたのだ。我々だけが危険をおかさず安寧をただ求めるばかりか、まして彼女らを見殺しにしては、申し訳が立たぬではないか!」


そう一喝して黙らせた。
闇夜に浮かぶ飛行甲板に、一機、また一機と、攻撃を終えた艦載機が降りてくる。
護衛艦隊を挙げての歓待。
「あれが最新鋭空母の輝きか」
艦戦・艦攻・艦爆に乗った飛行隊長の多くは、光に浮かぶその息を呑まんばかりの美しい姿に涙すら浮かべた。
味方が砲雷撃の的になる覚悟を持って、自分達の帰還を待っていてくれるのだ。
夜間着艦が如何程のものであろう。
その意気に応えんとばかりに、夜間とは思えぬまばゆいばかりの光の中、一機の損耗なく、全機着艦を終えた。
夜の闇がいっそう深くなる時のことであった。


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