過去ログ - 【悪魔のリドル】春紀「あれから」
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73: ◆UwPavr4O3k[saga]
2016/07/13(水) 14:56:34.02 ID:QrQyKVOv0


 春紀「……悪い、強く投げ過ぎた」


アスファルトに叩き付けられた兎角は、しかしそれでも片腕に力を込めようとするも、既に身体はボロボロで、もはや起き上がる事も出来なくなった。

片腕の出血は無理やり止められているだけで、ただでさえ血が足りないのに加えて肺が潰されたことにより、本格的に意識が薄れていく。

ここにきて、今まで無理やりに動いていた兎角の無意識な殺意が引いていき、ぼんやりとした瞳のまま春紀を見上げた。


 兎角「……いや、おかげで目が覚めた。また、私は、」

 春紀「葛葉の幻術は、此処で絶やすべきだ。あまりにも凶悪過ぎる」


そうして冷静になった頭で見渡した景色には、血だまりに沈んでいたと思っていた鳰の姿はどこにもなかった。

春紀は取り出したデリンジャーの弾倉を兎角に見せ、


 春紀「空砲を利用されたんだ。紛らわしい事をしたアタシにも非はあった」

 兎角「……」


納得したのか、少しだけ首を縦に動かした兎角は、遂に限界を迎えて意識を失う。

いち早く治療したいのもあったが、それよりも先に、鳰との話をつけなければならないだろう。


倒れ伏し、しかし先ほどまで輝かせていた片目の赤い瞳は輝きを失っている。

鳰の傍へと歩み寄った春紀は、ゆっくりと彼女の肩を支えて立ち上がらせようと力を込める。


 鳰「……は、るき、さん?」

 春紀「お前、戻れたのか?」

 鳰「そう、みたいです。鳰が幻術を使って体力を使い果たしたせいか、意識が反転した……と思います」


よろよろと立ち上がったまま、しかし気まずそうな表情のまま顔を伏せるニオに対して、


 春紀「アタシが悪かった。……自分勝手な考えを、自分が思う正義を押し付けてしまったから、ニオを止める事が出来なかった」

 鳰「……」

 春紀「でも、やっと気付けた。この命のやり取りの世界に必要な事は、"絶対的な意思"だった。」


必ず何かを成し遂げるという思いこそが、失われる命を肯定する唯一の方法。


 春紀「もう一人で抱え込むな。アタシや冬香達がニオを待ってるんだから」


顔を伏せていた鳰がピクリと肩を震わせ、支えられている左腕で春紀の肩を強く抱く。

今は、休むことが必要だ。身体の傷も、心の傷も癒す為に。

そうして、歩き出そうとした春紀は、自分の脇腹に焼ける様な痛みを感じた。



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