過去ログ - 結衣「うたかた花火」 【俺ガイル】
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55: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:10:51.75 ID:ZBNG2Zf6o
直球。
これ以上にないくらいに。
あたしがそう聞いた瞬間、ゆきのんの顔はまるでタコのように一気に真っ赤になって言葉をまくしたてた。
56: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:11:17.29 ID:ZBNG2Zf6o
「……由比ヶ浜さん?」
「えっ? あ……、な、なんでもないよ!」
無意識に出てしまった憂鬱を必死に笑顔で隠す。しかしそこはこれだけの長い間を一緒に過ごしてきたゆきのんだ。
57: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:11:43.21 ID:ZBNG2Zf6o
「ゆきのん……?」
「……そうね。じゃあ私から言わせてもらうわ。……私は比企谷くんのことが好きかもしれない」
「……何それ」
58: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:13:01.98 ID:ZBNG2Zf6o
「ゆきのん……お願い」
心の中からこみ上げるものを胸の奥に押し込んで、代わりに声を出した。
「もしも、……もしもの話だけど」
59: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:13:28.51 ID:ZBNG2Zf6o
ゆきのんはあたしの言ったことの真意を掴みかねているみたいで、困ったように口を開いては閉じるを繰り返している。
しかし三回目くらいで自分の中で得心がいったのか、選ぶように言葉を紡ぐ。
「……わかったわ。ただ、これだけはあなたも心に留めておいて。私は比企谷くんのことを大切に思っている。でも同じくらいにあなたのことも大切な存在だと思っていることを」
60: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:13:56.81 ID:ZBNG2Zf6o
それからはまた部室で他愛のない会話を挟んだり、二人とも黙って互いに自分のことをやったりして日が暮れるまでの時間を過ごした。
そうやって過ごせる回数がもうあと指で数えられるくらいしかないのだと思うとすごく寂しくて泣いてしまいそうだったけど、ゆきのんに悟られないようにグッと堪えた。
その帰り道、家に着く頃には陽はもう沈んでしまっていて辺りはまっくらで、空にはポツリポツリといくつか星が瞬いていた。
61: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:14:22.90 ID:ZBNG2Zf6o
お願いします。
もしもあたしの願いが叶うなら、
ヒッキーがあたしのことを好きになるようにしてください。
62: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:14:49.28 ID:ZBNG2Zf6o
――よくそんなことを言えるね。
ボソリとそんな言葉が月をシルエットに夜空に浮かび上がった。
――本心でそんなこと思ってないでしょ?
63: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:15:22.71 ID:ZBNG2Zf6o
高三、三月。
卒業式も一週間後に迫ったある日。学校の廊下を歩いていると突然、ヒッキーに話しかけられた。
「少しいいか?」
64: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:15:48.60 ID:ZBNG2Zf6o
鍵はヒッキーが持っていたようで、かかっていた鍵を開いて中へ入った。
「……珍しいね。ここにあたしとヒッキー二人なんて」
「そうか? 一色の時とかあったろ」
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