1:saga
2016/01/11(月) 00:48:15.33 ID:AHiYG1PX0
「今日はデートの日なんだね」
「へっ」
賑やかな学生達に溢れる大学の構内を二人一緒に歩きながら、彼女は私に言いました。
思わず大きな声が出てしまって、慌てて口を手で覆い隠します。
彼女とはもう中学生の頃からの付き合い。同じ高校へ進学することはなかったけれど、大学でまた巡り会いました。
大学生活なんて灰色どころか色なんてつけるのがおこがましいぐらいの日々を過ごすだろうと覚悟していた私は、彼女との出逢いに深く感謝したものです。
「だってさ、今日はおめかししてるでしょ?」
「そんなこと、ないですけど……私にはそんな相手いませんし……」
「でも、服に気合が入ってる日じゃん、心なしか髪のロールも昔みたいにくるくるしてる」
「く、くるくる、ですか……?」
自分では見えない後ろ髪を指で巻いて解きます。
ほら、気にしてる。意地悪な言葉。
髪は子供の頃と比べると癖は少なくなって、重力に逆らわず波打ちながら落ちるようになりました。
……実はちょっとだけ、気に入っています。
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2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 00:49:25.40 ID:AHiYG1PX0
「その、私なんかそんなの、無縁な人間ですし……これは、意味があることではないといいますか……そもそも気合なんて……」
誤解を解こうと言葉を探しても形にはならず、慌てる私に目の前の彼女はクスクスと笑いを堪えるばかりです。
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