過去ログ - 男「はじめまして」
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17:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:11:59.32 ID:wkt/bPn4o
女「男さんは本当に料理がお上手で、……その、プロのお料理をする、ええと」

男「昔はプロでしたからね。喫茶店のマスターですけど。
  トーストなんて今でもうまく焼けますよ」

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18:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:12:59.30 ID:wkt/bPn4o
 持ち味ともいえる流れるような話術は明らかに精彩を失っていたが、
 そのつど男が巧みにフォローする。

 生放送でのトーク、という点では男の方が場数を踏んでいる。
 女がどう話を進めたいのか理解したうえで、流れを止めずにさりげなく軌道修正できるのは
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19:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:13:53.31 ID:wkt/bPn4o
 もう少しでCMに入れそうな時間帯に、女の不調が明らかな発言が飛び出した。

女「そういえば男さんの番組に逆に私が出演して、電話で翌日のゲストをご紹介するコーナー、
  あれにまた呼んでくださらない?って、男さんが決められるわけじゃないんですけども」

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20:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:14:49.52 ID:wkt/bPn4o
男「確かに私の一存ではどうしようもないんですけど
  女さんも帰っていらしたことですし、私も昼の帯に戻ってみるのも悪くないなあって
  思ってたところなんですよね」

 客席からええっ、という声があがる。
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21:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:15:24.48 ID:wkt/bPn4o
 男の好フォローに助けられながらもようやく三度目のCMに入る。
 再び目を閉じて女は回復につとめている。

 番組の三分の二が終わり、CMは残り一回。
 ただしそれはほぼ終了の間際に差し込まれることになっており、実質的にはこれが最後の休憩である。
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22:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:15:55.91 ID:wkt/bPn4o
女「ところでお話は変わるんですけど男さんは――」

 不意に言葉が途切れ、女がうなだれる。
 目は開けたまま、一人だけ時間が止まったかのように動かなくなった。
 男も声をかけず、場に静寂がもたらされる。
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23:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:16:42.53 ID:wkt/bPn4o
 CM入れますか?、とスタッフの一人がたずねる。
 ディレクターもとっさには判断しかねていた。
 CMは先程入れたばかり。
 それにここでCMを入れればもう女にこれ以上番組を続けさせることはできないだろう。
 『女の部屋』の復活も今回限り、ということになりかねない。
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24:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:17:20.10 ID:wkt/bPn4o
 男が、非常にゆっくりと、それこそもっさりとした動作で立ち上がったかと思うと、
 やはりもっさりとした動作で腰を下ろす。

 意味不明の動作を、男はもう一度もっさりと繰り返した。
 司会は身動き一つできず、ゲストは謎の立ったり座ったり。
以下略



25:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:17:51.57 ID:wkt/bPn4o
 男の滑稽な動作を見て、ディレクターはそれが何かの合図なのだと察した。
 もし本当に危険な状態であれば、男があんなにのんびりとしているはずがない。
 生放送を知り尽くしている男の判断にすべてを委ねようとディレクターは思った。
 オンエアを続ける、と判断を下す。


26:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:19:21.56 ID:wkt/bPn4o
 一分余りが経過しても、女は言葉を発しないどころかまばたき一つしない。
 今頃電話が殺到していることだろう。
 インターネットでは放送事故のつぶやきが駆け巡っているに違いない。

 ざわめきが大きくなっていくのと対照的に男も腰を下ろしたまま固まったようになり、
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27:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:20:31.20 ID:wkt/bPn4o
 男は呼びかけもしなければ近づきもしない。
 まるで女が死んでいるのを確かめることを恐れているかのようでもあった。
 しかし男の胸中は異なる。
 マイクも拾わない小さな「えぇ」という声を聞いた気がしたからだ。

以下略



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