過去ログ - 男「はじめまして」
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27:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:20:31.20 ID:wkt/bPn4o
 男は呼びかけもしなければ近づきもしない。
 まるで女が死んでいるのを確かめることを恐れているかのようでもあった。
 しかし男の胸中は異なる。
 マイクも拾わない小さな「えぇ」という声を聞いた気がしたからだ。

 女は生命を燃やしてでも何かを語りかけようとしている、と男は思った。
 あるいはそれは、ただの呼吸の異常により発生した現象かもしれない。
 単に無事を願う男が、ありもしない声を聞いたように錯覚しただけかもしれない。

 そのような「かもしれない」を考慮したうえで、男は自分の経験を信じた。
 数多くの芸能人や著名人と対話して、切り出したい話があるようなときには
 しぐさや口調、表情に見過ごしてもおかしくないようなささいな変化を感じる。
 今の声こそ、その兆候に違いない。


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