過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」2
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◆JzBFpWM762
[saga]
2016/01/17(日) 14:57:53.96 ID:CE5MZioLO
「一人で待ってても退屈だし……案外、やってたら慣れるかも」
本音だ。この苛まれるような作業にネリーが嫌々取りかかるのを傍観しているのはたとえ目の前にいなくたって嫌だ。したくない。
「帰るなら送ってくよ? ……それくらい、いいよね?」
アフロ男に顔を向けたネリーが脅すような口調に変えて言う。
「えっ、それは困……」
「は?」
る、と言いかけたのだろうアフロがぎろっと睨まれて押し黙る。怯えたように口に掌を当てている。
「帰れないって言うの?」
「ちょ、ちょっとコワイ……今どきの女の子コワイ……」
「帰れるの? 帰れないの?」
「か、勘弁してくださいよ」
年齢は親子ほど違いそうな二人の力関係が年功序列の理屈と相反している。
助けを求めるかのように、アフロからすがる目で見つめられる。
別に帰りたい意思があるわけではない。だから、心の奥底に潜む咲は彼を助けてあげたいと思う。
だがその意思はなくとも咲はネリーの味方だ。それは、ダブルスタンダードを厭いながらも切り離せない、咲の内面をよく表す捉え方だった。
「宮川さんが重要なんですよ……彼女だからこそお願いしたんだ」
なぜ自分なのか、理由が幾つかあるらしいが最たるところだと聞かされたもの、それは咲にしてみれば不本意なものだ。
「この、ダイエット商品の宣伝や売り子、実演モデルにはスリムであることが求められるんです」
アフロが比較的真面目な顔で言うとネリーは鼻を鳴らした。
「ネリーも同じくらいには痩せてるけど?」
「スリムなのは最低条件! 宮川さんには声や容姿といった武器がある!」
思わず咲はむっとした。頬がふくらむ。それでは、まるでネリーの声や容姿に魅力がないみたいではないか。
――私より絶対に魅力あるに決まってるでしょ!?
「エルティちゃんの何が不満だって言うんですか!」
怒鳴るような声をあげる。アフロとネリーが同時に振り向く。二人とも意外そうに目を丸くしている。
「み、宮川さん?」
「エルティちゃんはかわいいんです! 三国一です! いや世界一です!」
宇宙一、と口にしかけて口を噤む。ほんとうなら事実を事細かに明らかにしてやりたいところだが、この勢いなら言わずともわかるはず。語勢同様咲の心情は暴走していた。
その影響は瞬く間に周囲に波及し、引き気味の反応を見せるアフロと、
「……うえっ、サキ?」
ほんとうならこの場で言ってはならないはずの名前を口にしてしまう取り乱した様子のネリーを生み出す引き金となった。
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