1:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage saga]
2016/01/13(水) 23:00:37.42 ID:X6lrT1ts0
伊織は、大海原の只中にいた。どこを見渡しても何も無かった。
夜中の海は規則的な波の音が聞こえるだけで、甲板には伊織を除いて誰もいなかった。
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2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage saga]
2016/01/13(水) 23:01:32.56 ID:X6lrT1ts0
雲ひとつ無い夜で、月光が眩しいほどに海面に反射していた。
すぅと息を吸い込むと、胸を突くような力強い潮の香りと、儚いほど澄みきった夜の空気が絡みあい、伊織の肺を満たした。
冷たくも、体を熱くするような空気だった。
3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage saga]
2016/01/13(水) 23:03:17.64 ID:X6lrT1ts0
伊織は目を閉じ、柵にもたれかかった。
暗闇の中で律動する波音が心地よかった。
赤子を抱くかのように、海風が優しく体を包みこんだ。
おもむろに、伊織はブラウスの胸ポケットから携帯電話を取り出し、電源ボタンを押した。
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