過去ログ - 貴音「あいすくりぃむ・しんどろぉむ」
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21:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 01:42:40.07 ID:1diUY5Sq0
……私は、プロデューサーのことを話す響の笑顔を、見ていることに耐えられませんでした。なぜなら、その笑顔はいつもの、春のような暖かい笑顔ではなかったから。
最近気づいたのですが、どうやら響は、プロデューサーに恋心を抱き始めているようです。気づいている人間は、おそらく響自身も含めて、存在しないでしょう。ですが、私にはわかってしまった。なぜなら、
プロデューサーのことを話す響の笑顔は
暖かい春の太陽などではなく
熱く情熱的な、真夏の太陽でしたから。
以下略



22:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 01:43:14.51 ID:1diUY5Sq0
御手洗いから戻った私は、プロデューサーのことを楽しそうに話す響に、微妙な気持ちで相槌を打っていました。喫茶店を出て、響に夕飯はどうするか、と聞かれ、夕方から用事がある、と言って別れました。響は残念そうでしたが。
帰り際、ふと、街角のレコードショップのウインドウを見ると、そこには響の映像が映っていました。彼女は仕事でもつくり笑いなどすることはなく、いつも自然体で……
画面に映る響の笑顔はどうしようもなく今の私を揺さぶります。ああ、あの笑顔を私だけのものにできたらいいのに。画面に映る響の姿は、いままで私が共に過ごしてきた響となんら変わりがないというのに。どうしてでしょう、彼女がずっと遠くにいる気になるのは。


23:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 01:44:01.85 ID:1diUY5Sq0
夕空を見上げると、太陽と、月がありました。太陽は今から落ちようというのに未だ燦々と光輝いているのに対して、これから上る月は太陽の光に負け、薄っすらと輪郭のみを残しています。ごぉぉっ、と音がして、太陽と月の間を、飛行機が白い白線を引きながら真っ二つに割っていくのを見て、私の恋心が、はっきりと否定された気がしました。

夏はまだまだ半ばです。


24:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 01:45:13.97 ID:1diUY5Sq0
とりあえず今日はここまでです。
残りは明日書き終え次第投稿します。


25:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/14(木) 03:56:26.49 ID:nNMayMlwo



26:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 12:18:07.84 ID:1diUY5Sq0
書き終えたんで残り投下します。


27:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 12:19:18.18 ID:1diUY5Sq0
7月下旬

美希「んーっ!やっと終わったの〜!」

響「今日の撮影、思ったより長かったなー」
以下略



28:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 12:20:13.80 ID:1diUY5Sq0
響は元気に手を振りながら、帰路へと走っていきます。相も変わらぬ強い日差しと気温で風景が歪む中、去っていく響の姿だけははっきりと見えていました。

貴音「さて、これからどうしましょうか」

私はこれといって用事もないので、とりあえず家の方向へと歩いていくことにしました。大通りから裏道にそれて、何気なく歩いていると。
以下略



29:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 12:20:47.84 ID:1diUY5Sq0
貴音「お久しぶりです」

店主「ん?あぁ、貴音ちゃんか。今日は響ちゃんは一緒じゃないのかい?」

貴音「ええ、仕事の帰りに、たまたまここを通ったものですから」
以下略



30:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/14(木) 12:21:19.03 ID:1diUY5Sq0
それにしても、響、プロデューサーに続いて、二回会っただけの店主にまで違和感を指摘されてしまうとは。私は割合感情を仕草に出さない人間だと思っていたのですが、実はわかりやすい人間だったのでしょうか。それとも、響への恋心を隠していることは、そこまで私の負担になっているのでしょうか。私と響を繋ぐ『友情』……それが、とてつもなく憎らしく感じられてしまいます。親友という関係があるせいで、私は響に思いを伝えることができない。それはさながら、友情という出口のない迷路に迷い込んでしまったかのよう。しかし、その迷路の壁を無理やり破ってまで、響に気持ちを打ち明ける勇気は、依然として私にはないのです……

ふっと思考の彼方から抜け出した私は、慌てて持っているアイスクリームを見ましたが、案の定、すでに大部分が溶けてしまっていました。抹茶の緑と、ストロベリーの赤が、混ざり合って決して美しいとは言えない色合いを作り出していて、それがまた私を寂しい気持ちにさせました。


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