11:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage saga]
2016/01/17(日) 02:08:13.45 ID:wgBKFXiq0
9、
俺は絶望した。約束を果たせなかった自分に……信じてくれた幸子をちゃんと輝かせていなかった自分に……
同僚や先輩方からは、大出世だとお褒めの言葉をいただいたけれど……心は晴れなかった。
選挙結果の出た夜……幸子から1通のメールが来ていた。
「明日、2人だけで会いましょう」……と
俺は幸子の顔を見る権利すらないと返信も出来ず1人で帰宅をした。
その翌日……鳴り響く呼び鈴で目を覚ました。
俺は寝ぼけ眼で玄関を眺めていると……
ガチャッ
っと扉の開く音がした。
「全く、不用心すぎですよ!プロデューサーさん!ボクのプロデューサーならもっとしっかりしてください!」
ドアの閉まる音の後に聞こえてきたのは……大好きな声だけど、今は聴きたくない声だった。
「さ、幸子?……ごめん……ごめん……」
俺は蹲って視界と塞ぎ、謝罪の言葉をつぶやく。それしか出来ないんだ、それしか……
でも、そこに返ってきたのは、優しく俺の頭を撫でる手だった。
その撫でる手の動きが優しくて温かくて……涙がもっと溢れてきてしまう……
俺は我慢できずに幸子に抱き着いていた。
何度も、何度も、謝罪の言葉を重ねて幸子を抱きしめる。
そのとき、ふと、耳元でいつもより優しく幸子が俺を呼ぶ声が聞こえた。
幸子の声に動きが止まる。
その時を待っていたかのように幸子は俺の顔を両手で挟み、優しくウインクをして……唇を重ねてきた。
俺の脳が考えるのを止めた。いや、何が起きたのか分かろうとしていなかった。
固まる俺なんか気にせず、幸子は唇を重ねてくる。
冷静になってきた俺は、幸子の動きを止めると、何故こんなことをしているのか問いかけた。
答えは単純だ。そんなことも分からないのかといつもの自信深げな笑顔で挑発された。
あぁ、分かんないよ。いや、分かろうとしたくないのかもしれない。
俺は幸子から離れようとする……けど、幸子は俺の首に腕を回して離そうとしない。
それどころか……自分の体を俺に擦り付けて更に挑発してくる。
ダメだ……こんなの……ダメだって……
そして幸子から……本当のダメ押しが来た。
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