過去ログ - 元提督「ホームレスになったった」
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182: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:23:19.17 ID:HDvwhY9+O
この人はいつもこうだった。普段は言葉数も少なく飄々としているが、なにかスイッチが入ると笑い上戸になったりおしゃべりになったり……

「ひどい顔じゃないか。ちゃんと迎えろって言ったのに全く……」

「いいえ、充分に丁寧な扱いを受けました」
以下略



183: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:24:03.41 ID:HDvwhY9+O
軽く俺の方に掲げてくる。
飲むか? ということだろう。本当だったら飲みたいところだけど、あんな見るからに高級品は恐れ多い。

首を横に振る。
次に翔鶴の方にもボトルを見せた。
以下略



184: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:25:00.15 ID:HDvwhY9+O

「君は何から聞きたい?」

「何から、と言いますと……」

以下略



185: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:26:04.86 ID:HDvwhY9+O
「しかし、彼女は大いなる戦果をあげた。私はできるなら、今回のことは見なかったことにしたい。それほどの価値があることを加賀はやった。しかし罰は与えなければならない。だから彼女を罰した。ただし彼女の活躍を考慮して減刑した」

「具体的には?」

「禁固一週間。軍法会議ではそれで異論なかった」
以下略



186: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:26:45.48 ID:HDvwhY9+O
「しかし君の方は簡単にはいかなかった」

中将がまた笑顔になる。

「加賀はまだ軍属だから鎮守府軍法会議の中で収めることができた。だけど君は民間人だ。内務省のやつらがやいのやいのとまぁ……」
以下略



187: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:27:40.19 ID:HDvwhY9+O
「再就職のアテ、あるかい?」

「見つけます」

「今の時期は大変だろう。どうかな、海軍に戻るというのは」
以下略



188: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:28:21.15 ID:HDvwhY9+O
しばらくの間。

「すっかり私が話してしまったね。他に聞きたいことはあるかな?」

「艦娘の深海棲艦化についてはどれほど研究が?」
以下略



189: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:29:12.13 ID:HDvwhY9+O
中将はメモ用紙になにか書いてこっちに差し出した。

「これは機密じゃないし近々発表することだ。我々は今回のあの空母棲鬼の出現を受けて、深海棲艦に新たなカテゴリーを設けることにした」

メモ用紙には几帳面な字で“棲姫”と書かれてる。
以下略



190: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:30:20.40 ID:HDvwhY9+O

「またしゃべりすぎてしまったね。まだなにかある? 私はまだ時間があるけど」

「もう結構です。ありがとうございました」

以下略



191: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:31:24.30 ID:HDvwhY9+O
房に戻って間もなくして中将の言う通り内務省の役人がまたやってきた。

俺が起訴されない旨と、前例が残らないという意味の話を長々とされて、最後に書類に署名させて帰って行った。

その日はそれから食事を済ませて、ぼんやりと過ごしていた。
以下略



192: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/13(土) 21:32:01.41 ID:HDvwhY9+O
翌朝もいい天気だった。加賀と会った日よりいくらか涼しい。

中将は見送りには来れなかったが、俺が房から出る前にやって来て別れの言葉と礼、そしてまた海軍に戻らないかと加えた。

俺は改めてもう一度断り、横須賀鎮守府をその日後にした。
以下略



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