3:名無しNIPPER[saga]
2016/01/20(水) 22:16:25.82 ID:dk78gRdd0
*****
過去の夏を見ていた目の焦点を書棚に戻し、和は目当ての本に指を伸ばす。
一冊を抜き取って装丁を確認する。
ああ、確かこれだ。
あの頃の彼女が、手にして読んでいた本。
きっかけは偶然手にとった本の表紙に既視感を覚えた事だった。
どこで見たのだったかとしばらく眺めて、白い手に収まっていたその本の記憶が蘇った。
それを買って読み、家の書棚に立て掛けた2日後にはこうして記憶を辿りながら書店に立っていた。
そのために空けた一段は、もう中程まで埋まっている。
あの棚が全て埋まったら。
それでもう彼女を思い出すことはするまい。
30Res/13.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。