過去ログ - 和「あの夏の名残」
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/01/20(水) 22:16:25.82 ID:dk78gRdd0

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過去の夏を見ていた目の焦点を書棚に戻し、和は目当ての本に指を伸ばす。

一冊を抜き取って装丁を確認する。

ああ、確かこれだ。

あの頃の彼女が、手にして読んでいた本。

きっかけは偶然手にとった本の表紙に既視感を覚えた事だった。

どこで見たのだったかとしばらく眺めて、白い手に収まっていたその本の記憶が蘇った。

それを買って読み、家の書棚に立て掛けた2日後にはこうして記憶を辿りながら書店に立っていた。

そのために空けた一段は、もう中程まで埋まっている。

あの棚が全て埋まったら。

それでもう彼女を思い出すことはするまい。


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