過去ログ - 【艦これ】鳳翔さんは料理ができない
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2016/01/29(金) 21:20:45.93 ID:WrgJI4j4o
 しかしこのまま引き下がるわけにもいかない。 
 私はこの目で、しかとその瞬間を見たのだ。 
 彼女が自らの手で、駆逐艦らに昼食を手渡していたのを。 
  
 「カレーは作ることができるだろう」 
18:名無しNIPPER
2016/01/29(金) 21:26:01.31 ID:WrgJI4j4o
 「盛り付け……というと?」 
  
 「はい。元々この厨房では、配給の人が料理を作ってくださるんです」 
  
 鳳翔の話に首を縦に振る。 
19:名無しNIPPER
2016/01/29(金) 21:38:04.20 ID:WrgJI4j4o
 「最初はあまりお役に立てなかったのですが、今では素早く配ることができるようになりました」 
  
 自慢げに、それでいて淑やかな鳳翔の言葉が耳に届く時、そのからくりに気付いてしまった。 
 鳳翔は料理を振る舞っていたわけではない。 
 ただ、調理されたものを盛り付けて、提供していたにすぎないのだ。 
20:名無しNIPPER
2016/01/29(金) 21:45:25.44 ID:WrgJI4j4o
 「鳳翔。手料理を振る舞っているという誤解を受けているのではないか」 
  
 ぎくり。 
 そんな擬音が聞こえるように、彼女は身を強張らせた。 
 図星のようだ。 
21:名無しNIPPER[sage]
2016/01/30(土) 04:51:00.61 ID:vo8qJPH90
 かわいい 
22:名無しNIPPER[sage]
2016/01/30(土) 09:03:33.91 ID:DfxtY85aO
 いいね 
23:名無しNIPPER
2016/01/31(日) 00:26:36.34 ID:ExJyvr1Wo
 「鳳翔さんのような人に憧れる、と。そう言われたのです」 
  
 その言葉に、黙って耳を傾ける。 
 物憂げな表情だった。 
  
24:名無しNIPPER
2016/01/31(日) 00:30:01.99 ID:ExJyvr1Wo
 私はそれを聞いて、思わず顔を伏せた。 
 何も感涙したわけではない。 
 ただただ、彼女の「大きさ」に笑みがこぼれた。 
  
 「ははは」 
25:名無しNIPPER
2016/01/31(日) 00:35:11.13 ID:ExJyvr1Wo
 「お前もただの人間なのだな」 
  
 引き上がった口角を緩め、なんとか真面目な顔を作る。 
 このように涙目で抗議されては、からかうわけにもいかないのだ。 
  
26:名無しNIPPER
2016/01/31(日) 00:42:45.07 ID:ExJyvr1Wo
 「鳳翔は、もっと凛としているものだとばかり思っていた」 
  
 私がそう告げると、彼女は悲しげに目を伏せる。 
 その所作のひとつひとつに、等身大の人間らしさを感じられる。 
  
27:名無しNIPPER
2016/01/31(日) 00:48:46.58 ID:ExJyvr1Wo
 こんな状況に置かれても、あの鳳翔なら一人で解決してしまう。 
 だがこの鳳翔は、どうやら手のかかる存在らしい。 
  
 「私が料理の心得を教えてやろう」 
  
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