過去ログ - あぎり「やすなさんの異常な愛情」
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686:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:04:25.59 ID:qN8sgtAQ0
「私を構成する材料として、やすなが用意したのは私の擬似的な記憶と、お前の記憶、そしてやすな自身の記憶と意識だ」
「それは知っています。彼女から直接聞きましたから……」
「でも、これだと一つ足りないんだ。その最後の材料が、お前の意識だった」
687:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:05:53.97 ID:qN8sgtAQ0
「……やすなは」
暫しの沈黙の後、彼女が重々しく口を開く。
その問いに、私は首を横に振ることしか出来なかった。
688:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:08:13.41 ID:qN8sgtAQ0
「やすなが、私を呼んだんだな」
「そうですね……」
「……終わらせよう、全部」
689:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:09:19.92 ID:qN8sgtAQ0
「……さぁ、やるぞ。最後の仕事だ、手伝ってくれ」
「もちろん」
画面上の彼女が手を動かすと様々なウインドウが、まるで泡沫のように浮いては消えてを繰り返す。
690:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:09:54.15 ID:qN8sgtAQ0
言われたとおりに数字を打ち込んで、エンターキーを叩いた。
しかし、システムがどうやらそれを弾いたらしい。
入力失敗の文字が画面に表示される。
「……くそ、やはりダメか。まだやすなが権限を握っている」
691:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:10:36.83 ID:qN8sgtAQ0
「くそ、他に何かないか……」
「ソーニャ、システムの本体はどこにあるか分かりますか?こうなったら、私が直接破壊しに……」
「……無理だ、サーバーはアーケロンの下……海中に設置されてるんだ、人間が行ける場所じゃない」
692:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:14:57.16 ID:qN8sgtAQ0
「どうしました?」
「うまく行けばの話だが……」
そう言いながら、ソーニャは施設の全体図を私に示した。
693:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:17:04.68 ID:qN8sgtAQ0
「よし、次だ。ポンプを手動操作に切り替える」
「切り替えですね……出来ました」
「よし、これで最後だ。パスワードを入力してくれ。そうすればポンプが動き出す」
694:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:18:27.29 ID:qN8sgtAQ0
「あぎり?どうした?」
「……ソーニャ」
「なんだ、時間がない」
695:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:19:29.67 ID:qN8sgtAQ0
「……手短に、な」
「どうして十五年前……私にこの事を話してくれなかったんですか?」
仲間として。
696:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:21:44.63 ID:qN8sgtAQ0
「……巻き込みたくなかった。お前や……下手をすればやすなだって。組織から狙われてしまうかもしれない……」
「私は……それでもよかった。あなたと、ソーニャと一緒なら。それだけでよかった……」
十五年のあの日。
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