過去ログ - 周子「アイドルでオトメなあたし」
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7: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:44:33.19 ID:0YsWS09W0
プロデューサーさんは、冷え切ったあたしの姿を見てなんと言うだろうか。

どうして外で待ってたんだ? 風邪をひいたらどうする?

アイドルなんだから、なにより健康に気を付けないと?


8: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:45:18.67 ID:0YsWS09W0
目に浮かぶのは、ぷりぷりと怒るあたしの王子様。

困ったな。怒られるのも、プロデューサーさんに心配をかけるのも、あまりいい気分でない。

今日だけだから、とあたしは首をすくめて一人呟く。


9: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:46:48.10 ID:0YsWS09W0
乃々ちゃんや日菜子ちゃんの受け売りではないけれど、女の子に生まれたからには、誰でも一度はマンガの世界を夢見るもの。

あたしとて、衣装を脱げば、多分どこにでもいる普通の十八歳。

少々他の人より遅い気もするけれど、そういうシチュエーションに対する憧れはみんなと同じくらいに、ある。
以下略



10: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:47:53.41 ID:0YsWS09W0
だから、今日だけ。

こんな天気になってしまったのは誤算だったけれど。

街路樹の下に停まったハザードランプの点滅に向かって駆け出す。
以下略



11: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:49:34.07 ID:0YsWS09W0
心配をかけたかもしれない、お小言が飛んでくるかもしれない。

でもなによりもまず、あなたはあたしにこう言うだろう。

そうしてあたしは、予想外の寒さに思わずぶるると身体を震わせながら、でも、他のアイドルたちにもファンのみんなにも、家族にだって見せないとびきりの顔でこう答えるのだ。


12: ◆oGGROSsMWw
2016/02/01(月) 00:50:06.36 ID:0YsWS09W0
「すまん周子、待ってたのか!」


「んーん。あたしも今、来たところだよ」



13: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:10:06.04 ID:QpfMQaPz0



西日はあっという間に暮れて、星はどんより、雲の向こうに隠れている。

以下略



14: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:12:02.93 ID:QpfMQaPz0
へっしょい!


やっぱり身体を冷やしすぎたのか、こらえきれずに大きなくしゃみが出た。

以下略



15: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:13:09.07 ID:QpfMQaPz0
どうしてだろうとあたしは少し考え込み、そしてすぐにその理由に気付く。

答えはプロデューサーさんの顔に大きく書かれていたのだもの。

寒い中、長いこと待たせてすまなかった、と。


16: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:13:44.36 ID:QpfMQaPz0
少し申し訳ないなと思ったけれど、あたしも何も言わないままにしておいた。

どこかで見ているアイドルの神様も、これくらいの嘘なら許してくれるはずだと思ったから。

いつもはみんなのアイドルシューコなのだから、今くらいは、誰かを夢見るオトメのシューコの顔をしていてもいいんじゃない?


17: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:14:26.69 ID:QpfMQaPz0
「早く戻って暖かくしないとな」


「そーだね。事務所のソファーが恋しー」


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