過去ログ - 周子「アイドルでオトメなあたし」
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71: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:54:29.45 ID:0CcSjkT/0
「ちょっと寒かったから、暖房効かせすぎたせいかもしれないなー。心配してくれてありがとね、でも大丈夫だよ」


はい携帯、そう言って手渡したスマートフォンを、プロデューサーさんはまだ少し訝しげな顔をしながら、でも何も言わずに受け取ってくれた。

以下略



72: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:55:04.62 ID:0CcSjkT/0
「周子なら、四桁の暗証番号くらいすぐに開けられそうなもんだけどな」


その言葉に、あたしの心臓はどきりと跳ねる。

以下略



73: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:55:36.48 ID:0CcSjkT/0
ごくりとあたしの喉が鳴った。

どういう意味かと訊いていいか、と窓ガラスの向こうのあたしがにやついている。

訊いてどうする? プロデューサーさんは何と答えるかな。
以下略



74: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:56:12.52 ID:0CcSjkT/0
逡巡すること、数秒。

結局あたしの口から出たのは「ソンナコトナイヨ」の一言だけだった。

あらかじめ録音しておいたかのような、よどみない否定。
以下略



75: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:57:27.59 ID:0CcSjkT/0
「まあとにかく、一応戻ったら熱測っておくんだぞ。気になるようならちひろさんか俺にすぐ報告、連絡、相談。いいな?」



「心配性だなー、プロデューサーさんは。プロデューサーさんこそ、風邪ひいたりしないでよ? あ、もしそうなったら、ご飯食べさせにいってあげよっか」
以下略



76: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:58:08.35 ID:0CcSjkT/0
からかい混じりの軽口はたたける。

よしよし、おかえり、いつもどおりのあたし。

脈拍よーし、血圧よし。
以下略



77: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 22:59:30.86 ID:0CcSjkT/0
アクセルがゆっくりと踏み込まれる。

低いエンジン音にあわせて、動き出すあたしたち。

二人きりの車内が、ラジオの音声に塗りつぶされていく。
以下略



78: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 23:00:15.29 ID:0CcSjkT/0
ねえ、プロデューサーさん?



いつか誰かが、あなたのダブル・ブルを射抜くときがくるだろう。
以下略



79: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 23:02:14.38 ID:0CcSjkT/0
「なーんて、ね」


80: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 23:02:42.52 ID:0CcSjkT/0
少しだけ助手席の窓を開ける。

途端に暖房の風を押しのけていく冷たい空気。

それに吹き飛ばされて、あっという間にどこかへ行ってしまった、小さな小さなあたしの呟き。


81: ◆oGGROSsMWw
2016/02/04(木) 23:03:15.87 ID:0CcSjkT/0
道路を行き交う車の量は、もう随分と少なくなっていた。

この調子なら、十五分もあれば事務所に帰れるだろうな。

プロデューサーさんが、少し上機嫌な様子でそう言った。


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