過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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166:名無しNIPPER[sage]
2016/03/26(土) 02:29:06.29 ID:/1YHipEz0
乙

167:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:10:15.21 ID:yhGZ1Svd0
　ガタゴト、ガタゴト。
　終電の電車に乗り、私と勇者は家路についていた。
　最寄り駅まで１時間かかる。だというのに、私たちは時間潰しの会話もなく、ただひたすらに揺られていた。

魔王「…………」

以下略

168:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:11:15.98 ID:yhGZ1Svd0
魔王（私は、どうすればいい）

　こちらの世界に来てから３年間。その時間は、確かに私と勇者を変えた。
　憎しみ合う関係から、違う関係に。殺しあう間柄から、別の間柄へと。
　けれど、それはあくまで私たち２人の間だけ。

以下略

169:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:11:55.43 ID:yhGZ1Svd0
魔王（……魔王城に住んでいた頃の私なら、間違いなく自分が戻るのを選んだのだがなあ）

　けれど、今は違う。
　私は勇者を通して、人間の温もりを知ってしまった。
　箱入り娘だった頃とは違い、人間のことを知りすぎてしまった。

以下略

170:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:16:38.29 ID:yhGZ1Svd0
魔王（それにしても……）

　私は夜の景色を眺めながら、思う。

魔王（隣に知り合いがいるというのに……なにも話さない時間は長いと苦痛だな）

以下略

171:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:26:30.87 ID:yhGZ1Svd0
　思えば、元の世界の私には対等な者がいなかった。（勇者は別だ。敵だったから）
　誰もが私の機嫌をうかがい、恐れながら接してきたのだ。

魔王（私も自らの使命ばかりに囚われ、周りに目を向けていなかったのは問題だが……）

以下略

172:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:27:47.59 ID:yhGZ1Svd0
　私がそう思ったのと同時に、俯いていた勇者が顔をあげた。

魔王（それは、勇者へのこの気持ちを口にするのも同じで――）

勇者「なあ、魔王」

以下略

173:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 01:28:27.57 ID:yhGZ1Svd0
勇者「？？」

魔王「分からぬか？　分からぬか？　ほんっとーに、意味が分からぬか！？」

勇者「なに興奮してんだよ。いきなり話しかけたら不味かったか？」

以下略

174:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 02:07:00.38 ID:yhGZ1Svd0
　なにか釈然といかず、私はそっぽを向く。

勇者「まっ、いいわ。話の続きだ。なぁ、魔王」

魔王「……なんだ？」

以下略

175:名無しNIPPER
2016/03/29(火) 02:09:41.42 ID:yhGZ1Svd0
　私はもう一度、外の景色に目をやった。
　闇夜にうっすらと見えるぽつぽつとした白いものは、雪だろう。

魔王「春には新芽が芽吹き、夏には若葉が生い茂り、秋には紅葉が色づいて、冬には葉が土に還る」

以下略

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