過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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407:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:24:27.62 ID:ATjkHN7d0
　嘘つきいいいいい。
　嘘つきいいい。
　嘘つきい。
　……。

408:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:25:00.41 ID:ATjkHN7d0
巨人『がはははぁ、相変わらずですなぁぁ』

王子『巨人のおじさん』

巨人『今日もぉ、王女様はぁ、お説教ですかぁぁ』

409:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:25:38.09 ID:ATjkHN7d0
巨人『はいぃぃ。元気が有り余っている証拠ですからぁぁ』

王子『……元気、か』

　――王女に有り余っているのは、それだけじゃないと思うけど。

410:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:26:23.62 ID:ATjkHN7d0
王子『じゃあ、僕は自分の部屋に戻って今日の復習を――』ｶﾂｶﾂ

巨人『お待ち下さいぃぃ、王子様ぁぁ』

王子『？？』ｸﾙﾘ

411:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:27:04.98 ID:ATjkHN7d0
王子『えっ、父さんが……明日まで人間界のほうに居るんじゃなかったの？』

巨人『少し急用が入りましてぇぇ、先ほどぉ、お帰りになられたのですぅぅ』

王子『……そうなんだ』

412:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:27:37.13 ID:ATjkHN7d0
巨人『ワシらに話せないことでもぉ、父親である勇者様にならぁ、まだ話しやすいでしょうぅぅ』

王子『……っっ』

　小さな頃から僕ら兄妹がお世話になっている巨人のおじさんは、その大きな胴体と間延びする話し方に反し、相変わらず目ざとい。

413:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:29:53.73 ID:ATjkHN7d0
　ガラガラ。
　浴場の扉を開けると、湯気の中に大きな背中を見つけた。

勇者『ん～？　おー、王子。帰ってたのか。おかえり』

414:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:30:23.91 ID:ATjkHN7d0
勇者『どうだ、学校は？』

王子『どうって……いつも通りだよ。なにも変わんない』

勇者『なんだよなんだよー。つれない反応だな。もっとこう……なんかあるだろ？』

415:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:33:14.01 ID:ATjkHN7d0
　父さんの笑い声が、浴場に反響する。
　その声を聞くだけでむかっとするのは、僕がいわゆる反抗期と呼ばれる年頃のせいか。

王子『…………』ﾑｽｯ

416:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:41:25.74 ID:ATjkHN7d0
　父さんはいやらしい笑みを浮かべ、僕に問いかける。

勇者『さては……好きなやつができたな？』

王子『』ﾌﾞﾌｩ

417:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:42:03.31 ID:ATjkHN7d0
勇者『だってよ、学校のことを話したくなさそうじゃんか。前は、あんなに『お父さん、お父さん。聞いて。今日、僕ね』って、なんでも話してくれたのによ』

王子『どんだけ前だよ！』

勇者『お前がな、こーんなに小さかったときで……』

418:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:58:47.01 ID:ATjkHN7d0
　父さんは腹を抱えながら大笑い。
　……こういう、デリカシーのないところ、嫌いだっ。

王子『……けっ』ﾑｽｯ

419:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 00:59:17.66 ID:ATjkHN7d0
　父さんは霞がかった天井を見上げ、懐かしむように目を細める。

勇者『今のお前みたいにな。生真面目で、恥ずかしがり屋で、周りの目を気にして背伸びしてた頃の母さんにな』

王子『……なにそれ。褒めてんの？』

420:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:02:23.37 ID:ATjkHN7d0
勇者『さて、せっかくだ。背中でも洗ってやろうか？』

王子『いらない』

勇者『そ、即答かよ』

421:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:05:18.37 ID:ATjkHN7d0
王子『なんだよ、そのポーズ』ｸｽｯ

勇者『……やっと、笑ったか』ﾎﾞｿｯ

王子『え？』

422:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:20:20.71 ID:ATjkHN7d0
勇者『俺はもう出るからな。長湯してのぼせんじゃねーぞ』ｼﾞｬﾌﾞﾝ

王子『分かってるよ』

勇者『そっか……ああ、そうそう。今夜は城から一歩も出るなよ』

423:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:41:38.38 ID:ATjkHN7d0
　僕は頷き、父さんは脱衣所までゆっくりと歩いていく。
　その背は古傷だらけで……いや、背中だけじゃない。腕も、足も、首も、至るところに傷がある。
　それは、戦争の傷跡だ。
　僕は話だけでしか聞いたことはないが、魔界と人間界が戦争をしていたときに、負ってしまった傷の跡らしい。

424:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:43:27.83 ID:ATjkHN7d0
勇者『おい、王子！』

王子『ひゃい！』ﾋﾞｸｯ

勇者『暗い顔しててもなにもいいことなんかねーぞ。なるたけ笑ってろっ。笑う門には福来たる、だ！』ﾆｶｯ

425:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 01:43:54.34 ID:ATjkHN7d0
今日はここまでです。
はやく日本編いきたい・・・

426:名無しNIPPER
2016/04/20(水) 07:18:46.90 ID:aQjVzBzaO
乙！
これは続きを期待せざるをえない

427:名無しNIPPER[sage]
2016/04/23(土) 17:37:41.51 ID:UgdK5KBUO
待ってる

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