過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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192:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:04:39.06 ID:nBA5KraJ0
　先代から続くこの戦争で、人間相手にここまで攻めこまれたのは初めてだった。
　その快進撃の理由はもちろん勇者。
　長年、どちらにも傾かなかった戦局が、１人の人間によって動いていたのだ。

魔王『……奴がここまで来るのも時間の問題だな』

以下略

193:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:05:37.04 ID:nBA5KraJ0
　そのときの私は、魔王城から一歩も出たことなく、戦火の中で育ったこともあり、人間のことをなにも知らなかった。
　だから、倒すべき敵だとしか理解していなかった。

魔王『悪逆非道の人間たちよ。冷酷無比な人間たちよ』

以下略

194:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:06:17.70 ID:nBA5KraJ0
魔王「違う！」ｶﾞﾊﾞｯ

　私は目を覚まし、勢い良く上半身を起こす。
　窓から差し込む暖かい朝日と、歯磨き中のきょとんとした勇者の姿が、ここが八畳一間のワンルームであることを証明していた。

以下略

195:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:06:48.59 ID:nBA5KraJ0
　勇者はケラケラと笑い、朝のニュース番組を見るのを止めて、洗面台へ口をすすぎにいった。

魔王「いじわるな奴め……」

　私も起き上がり、大きくあくびをしてから布団をたたむ。

以下略

196:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:07:36.18 ID:nBA5KraJ0
　あの夢とは、私が先ほどまで見ていた昔の夢のこと。
　元の世界へ戻る方法を知った日から、眠るとたまにその夢を見てしまう。

魔王（元の世界のためにも、どちらが戻るかをはやく決めなくてはいけないが……こればかりは、そう簡単に決断は出来ん）

以下略

197:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:08:13.17 ID:nBA5KraJ0
　そんな私の思考を遮るように、テレビからはこんな声が聞こえてきた。

「今日は一日中晴れでしょう。続いて、開花情報です。全国各地では桜が満開の様子で――」

魔王「……満開、か」

以下略

198:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:15:49.10 ID:nBA5KraJ0
勇者「まおうー」

魔王「ん、なんだ？」

勇者「今日の天気予報はどうだった？」

以下略

199:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:16:36.23 ID:nBA5KraJ0
魔王「夜まで？」

勇者「おう。夜に見る桜はまた綺麗なんだ」

魔王「そうなのか？　普通、明るいうちに見るだけで良いと思うのだが……」

以下略

200:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:20:34.04 ID:nBA5KraJ0
魔王「本当か？」

勇者「マジだ。まあ、俺を信じて泥船に乗ったつもりでいてくれよ」

魔王「……泥船では信用は出来ないなあ」

以下略

201:名無しNIPPER
2016/04/03(日) 03:34:29.41 ID:nBA5KraJ0
魔王（やはり、小学生向けの漢字ドリルを買うべきか？）

勇者「まっ、そんなことはどうでもいいんだ」

魔王「……どうでも良くないと思うぞ？」

以下略

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