過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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212:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:26:41.68 ID:jvZ9R2jj0
魔王「……いいのか？」

勇者「おう」ｶﾞﾁｬ

　勇者は扉を開け、私たちは八畳一間のワンルームを後にする。

213:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:27:18.54 ID:jvZ9R2jj0
魔王「ん？」

勇者「人の好意に謝罪を返すのは違うと思うぜ」

魔王「むっ……そうか？」

214:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:28:04.39 ID:jvZ9R2jj0
　朝、戦争中の夢を見たからだろうか。
　私は、勇者に対して感謝の言葉を抵抗なく言える自分に、少し驚いた。

勇者「どういたしまして」

以下略

215:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:50:03.62 ID:jvZ9R2jj0
　男の教えてくれた花見の穴場スポットは離れたところにあるらしい。
　道中のスーパーで飲み物を買い、私と勇者は並木通りを歩いて行く。

魔王「……本当に、こっちで合っているのか？」

以下略

216:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:50:52.61 ID:jvZ9R2jj0
魔王「桜が有名な公園からどんどん離れていくぞ？」

勇者「知ってる」

魔王「このまま行けば町外れだぞ？」

以下略

217:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 00:51:35.50 ID:jvZ9R2jj0
魔王「温泉地での一件があったからなあ」

勇者「うっ……ま、まあ、あれは結果オーライじゃんか！」

魔王「そうだが……」

以下略

218:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:02:48.62 ID:jvZ9R2jj0
　勇者はそう言うと、地図とにらめっこを始めた。
　私はその姿にやはり不安を覚えるのだが、分かったと口にしたため、黙ってその後をついて行く。

魔王（並木が綺麗だなあ）

以下略

219:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:03:30.13 ID:jvZ9R2jj0
魔王「……どうした？　間違っていたか？」

勇者「間違ってねーよ」

魔王「なら、なんで、あんな反応をしたのだ？」

以下略

220:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:04:08.89 ID:jvZ9R2jj0
　勇者は振り返り、首をかしげる私を見る。

勇者「目をつむれ、魔王」

魔王「……なにがなんだかよく分からないのだが」

以下略

221:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:09:53.60 ID:jvZ9R2jj0
勇者「俺がいいって言うまで開けるんじゃねーぞ」

　勇者はそう言うと、私の手を握った。
　突然のその行為に、心臓が大きく跳ねるが、どうにか冷静を保つ。

以下略

222:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:25:26.28 ID:jvZ9R2jj0
　私は言われるまま、ぎゅっと閉じたまぶたを上げた。
　私の視界に飛び込んできたのは、遊具もなく、ベンチが２つあるだけの小さな公園だ。
　ただ、その中央には桜の木。
　天にまで伸びていくかのような太い幹に、風にたゆたういくつもの細い枝。
　そして、満開に咲いた花びらは、まるで現世から隔絶されたかのごとき美しさで――

以下略

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