過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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221:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:09:53.60 ID:jvZ9R2jj0
勇者「俺がいいって言うまで開けるんじゃねーぞ」

　勇者はそう言うと、私の手を握った。
　突然のその行為に、心臓が大きく跳ねるが、どうにか冷静を保つ。

以下略

222:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:25:26.28 ID:jvZ9R2jj0
　私は言われるまま、ぎゅっと閉じたまぶたを上げた。
　私の視界に飛び込んできたのは、遊具もなく、ベンチが２つあるだけの小さな公園だ。
　ただ、その中央には桜の木。
　天にまで伸びていくかのような太い幹に、風にたゆたういくつもの細い枝。
　そして、満開に咲いた花びらは、まるで現世から隔絶されたかのごとき美しさで――

以下略

223:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:31:11.55 ID:jvZ9R2jj0
勇者「どうだ、すげーだろ？」

魔王「あ、ああ……」ｺｸﾘ

勇者「だろ？　俺も男に写真を見せてもらったときは驚いたぜ」

以下略

224:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:33:48.10 ID:jvZ9R2jj0
魔王「そう、なのか」

勇者「テレビじゃ色んな桜を見れるけど、こんな桜は初めてだろ？」

魔王「う、うむ」

以下略

225:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:41:19.20 ID:jvZ9R2jj0
勇者「なんだよなんだよ。淡白な感想だなあ」

魔王「仕方ないではないかっ。私はこの桜の美しさを語る言葉を持ちあわせておらぬ」

勇者「また難しい言葉を使いやがって」

以下略

226:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:51:40.10 ID:jvZ9R2jj0
　私の言葉に勇者は笑うと、ベンチに座り、惣菜のパックを開けた。

勇者「じゃ、花見を始めるか」ﾆｯ

魔王「うむ、そうしよう」ﾆｯ

以下略

227:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 01:52:09.44 ID:jvZ9R2jj0
勇者「プッ、アハハハ！」

魔王「……日本茶を所望する」

勇者「分かってるよ。冗談だ」ﾆｯ

以下略

228:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:05:11.75 ID:jvZ9R2jj0
魔王「綺麗だなあ」

勇者「ああ、そうだな。綺麗な桜だ」

魔王「花を愛でながら飲む日本茶はより一層美味しい」

以下略

229:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:07:31.11 ID:jvZ9R2jj0
魔王「べろべろに酔いつぶれたら放って帰るからな」

勇者「それは勘弁」ｹﾗｹﾗ

魔王「……私は本気だぞ？」

以下略

230:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:09:48.39 ID:jvZ9R2jj0
　目を丸くする勇者を見て、私は思わず吹きだした。

魔王「冗談だよ」ｸｽｸｽ

勇者「……タチが悪ぃなー」

以下略

231:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:17:00.49 ID:jvZ9R2jj0
　生返事をした勇者は酎ハイを一口飲み、桜を見上げた。私も彼の横顔からしだれ桜に視線を移し、日本茶をすする。
　しばらくその美しさに見惚れたあと、勇者が私に声をかけてきた。

勇者「……なあ、魔王」

以下略

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