過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

↓ 1- 覧 板 20

229:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:07:31.11 ID:jvZ9R2jj0
魔王「べろべろに酔いつぶれたら放って帰るからな」

勇者「それは勘弁」ｹﾗｹﾗ

魔王「……私は本気だぞ？」

230:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:09:48.39 ID:jvZ9R2jj0
　目を丸くする勇者を見て、私は思わず吹きだした。

魔王「冗談だよ」ｸｽｸｽ

勇者「……タチが悪ぃなー」

231:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:17:00.49 ID:jvZ9R2jj0
　生返事をした勇者は酎ハイを一口飲み、桜を見上げた。私も彼の横顔からしだれ桜に視線を移し、日本茶をすする。
　しばらくその美しさに見惚れたあと、勇者が私に声をかけてきた。

勇者「……なあ、魔王」

以下略

232:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:20:49.51 ID:jvZ9R2jj0
　私は少し笑いながら、勇者に目をやった。
　ただ、その顔はいつもとは全く違い、どこか寂しそうで――

勇者「……ん、どうした？」

以下略

233:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:35:08.90 ID:jvZ9R2jj0
　それから、私たちは桜を眺めながらたくさん話をした。
　元の世界にいたときのこと、こちらに来てからのこと。
　本当に、いっぱい、いっぱい、お話をした。

魔王「ん……もう、こんな時間か」

以下略

234:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:35:38.03 ID:jvZ9R2jj0
　しどろもどろになりながらそう答える勇者。
　その周りには酎ハイやビールの空き缶が並んでいる。

魔王「飲み過ぎだ」

以下略

235:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 02:39:24.20 ID:jvZ9R2jj0
勇者「す、すまん。けどな、こうでもしなくちゃ」

魔王「む？」

勇者「勇気を、振り絞れそうにないんだ」

以下略

236:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 03:07:27.28 ID:jvZ9R2jj0
　絞りだしたかのようなその声。
　いつもと違う勇者の姿に、私は思わず、たじろいてしまう。

魔王「な、なにを言っているのだ。勇者ともあろう者が」

以下略

237:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 03:07:53.34 ID:jvZ9R2jj0
勇者「ありもしねー見栄張って、人間を安心させようと１人で戦いまくって」

　それは、彼が初めて見せた弱さ。

勇者「怖くて、心細くて、苦しくて……夜になる度、いつも俺は泣いてたよ」

以下略

238:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 03:11:28.66 ID:jvZ9R2jj0
　勇者はそこまで言うと、私をしっかりと見つめ、言葉を続ける。

勇者「けどな、違った。そんなものは正義なんかじゃなかった。魔族も人間と同じで、温もりのある生き物なんだから」

　そして私の肩を優しく掴む。

以下略

239:名無しNIPPER
2016/04/05(火) 03:22:49.94 ID:jvZ9R2jj0
　唐突なその台詞に、私は声が裏返りそうになりながら、返事をする。

魔王「わた、わたし、私もだっ」

勇者「そっか……嬉しいなあ」

以下略

427Res/167.47 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ