過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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252:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:17:46.97 ID:r+t3ZJG90
　勇者の叫びは、暗くなってきた空へ響きわたった。
　違う。違うんだ。

魔王（私が言いたいのはこんなことじゃなくて……っ！）

253:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:18:14.49 ID:r+t3ZJG90
　なけなしの勇気を振り絞るため、私はお酒の力を借りることにした。
　勇者から酎ハイをひったくり、一気に飲み干す。

勇者「えっ……おいっ！」

以下略

254:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:18:55.16 ID:r+t3ZJG90
　即座にアルコールがまわり、世界がぐにゃぐにゃっと変になる。

魔王（構うものか！）

　突然の奇行に酔いも冷めたのか、勇者は私を心配そうな顔で見つめてくる。

以下略

255:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:19:31.73 ID:r+t3ZJG90
魔王「ゆうしゃあ……お主は、お主はっ」

勇者「お、おう……」

魔王「確かに、バカで頑固で鈍感でデリカシーがなくてっ！」

以下略

256:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:20:25.75 ID:r+t3ZJG90
魔王「私は――っ」

　だけど、私には、引き下がる気なんてもうなかった。

魔王「私は、勇者が大好きなのだ！」

以下略

257:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:21:00.41 ID:r+t3ZJG90
　口にしてしまった言葉は、溢れる想いは、もう止められやしない。

魔王「魔族の王である私がっ、勇者にこんな感情を抱いてはいけないと分かってるっ。間違いだとも分かっている！」

　ぽつり、ぽつりと。

以下略

258:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:21:51.28 ID:r+t3ZJG90
　私は嗚咽混じりに、勇者へ訴える。

魔王「私は……お主と……離れたくないんだ……」

　自分の、本当の気持ちを。

以下略

259:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:23:06.89 ID:r+t3ZJG90
勇者「――っ！」ｷﾞｭｰ

　そんな私を、勇者は自分の胸へ引き寄せ、抱きしめた。
　とくん、とくん、と少し早い彼の心音。

以下略

260:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:23:39.71 ID:r+t3ZJG90
　涙が止まったときには、もう日は完全に落ちていて、空には無数の星がまたたいていた。
　私は彼から離れ、赤くなった目を手でこする。

魔王「……すまん……恥ずかしいところを見せてしまったな」

以下略

261:名無しNIPPER
2016/04/06(水) 03:24:06.38 ID:r+t3ZJG90
　私は笑顔を作り、口にする。

魔王「なぁ、勇者」

勇者「ん？」

以下略

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