過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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279:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:13:15.62 ID:HwJ571H00
男「魔王さんと過ごした日々は本当に楽しかった。僕にとって宝物です」

魔王「……ありがとう、男。お主には色々と迷惑をかけたな」

男「迷惑なんてとんでもない。僕が好きで世話を焼いただけですから」

以下略

280:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:13:48.76 ID:HwJ571H00
男「魔王さんならどこでも順応して生きていけますよ。なんたって、あの猪突猛進の勇者くんを上手くコントロールできるぐらいなんですから」

勇者「……ケッ、なんだよそれ」ﾌﾟｲｯ

魔王「あはは」

以下略

281:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:14:23.49 ID:HwJ571H00
魔王「もちろんだ」

　私は男の手を掴む。
　それは私の手のひらよりも一回り大きくて、立派なものだった。

以下略

282:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:14:52.19 ID:HwJ571H00
男「……では、名残惜しいですが僕はこれで」

　男は最後にまた微笑んでから、離れていく。
　入れ替わるように私の前にやってきたのは、大粒の涙をぽろぽろと流す女だ。

以下略

283:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:15:36.06 ID:HwJ571H00
女「うぅ……涙が止まらへんわぁ……」ｷﾞｭｰ

魔王「……女」

女「……ごめんなぁ、魔王ちゃん……もうちょっとこのままで……」

以下略

284:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:16:12.61 ID:HwJ571H00
　しばらくそうしていると、女が「よし！」と元気の良い声を出し、私の胸から頭を離した。

女「充電かんりょー。めそめそしちゃってごめんなぁ」

魔王「……謝らなくてよい」

以下略

285:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:16:43.67 ID:HwJ571H00
　女は右腕で涙を拭い、赤く腫れた目を細めて笑顔をつくる。

女「それ使ってさ、時々でええからおめかしして、日本のことも思いだしてーなぁ」

魔王「……うむ」ｺｸﾘ

以下略

286:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:17:40.03 ID:HwJ571H00
　女は満面の笑みで拳を伸ばし、私の胸にコツンと当てた。

女「離れてもずっと親友やで、魔王ちゃん」ﾆｯ

魔王「もちろんだ。いつまでも、いつまでも、女は私のかけがえのない親友だ」ﾆｯ

以下略

287:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:18:05.26 ID:HwJ571H00
賢者「……準備はできたかな？」

　以前よりもお腹が大きくなった賢者が、私にそう問いかける。

魔王「うむ。待たせてすまない」

以下略

288:名無しNIPPER
2016/04/07(木) 23:18:31.59 ID:HwJ571H00
　賢者はそう言うと、顔だけで振り返り、勇者を見た。

賢者「勇者様、最後になにか魔王様に伝えることはある？」

勇者「……昨日の夜、全部伝えたので大丈夫です」

以下略

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