過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「八畳一間ワンルーム。風呂無し、共同トイレ。家賃は３万円」

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357:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:08:42.46 ID:M6VAIlQK0
魔王『必要はない？』

王子『お母さんは魔王城にずっと住んでて、お父さんは結婚してからここに住みだしたんだよね？』

勇者『そうだな』

358:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:09:13.97 ID:M6VAIlQK0
魔王『と、とにかくだ。そんなに悪いものでもないんだぞ。八畳一間のワンルームで一緒に過ごすのは』

王子『えー、だって狭いんでしょ？』

魔王『それはそうだが……』

359:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:09:48.05 ID:M6VAIlQK0
勇者『……なあ、王子。考えてもみろよ』

王子『うん？』

勇者『好きな子と二人っきりで過ごせるんだ。ならよ、出来るだけ近くにいたくないか？』

360:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:10:26.49 ID:M6VAIlQK0
勇者『あ、あほっ。声が大きいって』

王女『――っ』ﾑｸﾘ

勇者『……せっかく眠ったのに、王女が目を覚ましたじゃねーか』

361:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:11:35.99 ID:M6VAIlQK0
勇者『おーおー、起こしてごめんなあ。お母さんが大声だしちゃったなあ』

魔王『……ぐぅ』

勇者『よしよし。いい子だからなあー』

362:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:12:03.77 ID:M6VAIlQK0
王女『……zzz』ｽｩｽｩ

魔王『……すまぬ』ﾍﾟｺﾘ

勇者『かまわねーよ』

363:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:12:35.42 ID:M6VAIlQK0
王子『好きな子とだったら、そんな狭い部屋で一緒に過ごしても、苦にならないの？』

魔王『……そうだなあ』

364:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:13:16.63 ID:M6VAIlQK0
魔王『王子。私はな、苦にはならなかったよ』

王子『なんで？』

魔王『お父さんに恋をしたからだ』

365:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:13:47.99 ID:M6VAIlQK0
王子『どういうこと？』

魔王『そうだなあ……いつか王子が、誰かに恋をしてみれば分かる』

王子『……そうなの？』

366:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:14:22.75 ID:M6VAIlQK0
魔王『さあ、王子。もう夜も遅い。明日も学校があるだろう？　はやく眠らなくてはいけないよ』

王子『うん……』

　そのときの僕は、お母さんに言われるまま目を閉じた。

367:名無しNIPPER
2016/04/11(月) 05:16:20.82 ID:M6VAIlQK0
　……いや、ちょっと違うかな。
　僕たちにとって大切で、かけがえのない、忘れられない日々の物語なのだ。

　多分、それは――いわゆる、恋のお話というやつなのだろう。

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