過去ログ - ビター (オリジナル百合)
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29: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/17(水) 13:24:19.03 ID:IQrTBBQc0
彼女はたちまち食べ終えて、私より先に店を出て行った。
ふみかちゃんが眉根を寄せて、駆け寄ってくる。

「ごめん、ダメだった」

「いいの、私こそ」

「はあ……」

なんだか肩凝った。
ふみかちゃんの手が私の肩に置かれた。
お疲れさま、と互いに苦笑いした。


翌日、多少減りはしたが相変わらず取りまきを引き連れて中庭を行く楠崎さんを見かけた。
楠崎さんは気だるそうな表情をしていた。
それでもイソギンチャクのように引っ付いている女子は、相当の手練れなのかもしれない。
楠崎さんを観察してみると、一切女子を甘やかす様子もなく、辛辣な言葉を放っていた。
それから、昨日みたいな修羅場は日常茶飯事のようだった。
たまたまそれが昨日は教室で勃発したというだけのことだと私は漸く気づいた。

「ふみかちゃん、あれは放って置いてもいいと思うよ?」

陽の当たるベンチでお弁当を突きながら、私は言った。

「でも、みひへふとおもふんらけろな」

ちゅるんとたこさんウインナーを口に納める。

「ええ? なんて?」

「無理してるんじゃないかなって」

「無理? 無理なら無理って言いそうだけど」

「そうだよねえ」

私は彼女の言いたいことが良くわからず、卵焼きを頬張った。
塩味。

「じゃあ、気のせいかな」

「気のせい気のせい」

ふみかちゃんの頭を悩ませるなんて、やっぱり楠崎さん許せない。

「私は楠崎さん苦手だよ」

「悪かったね」

背後から聞こえた中性的でドスの効いた声に私は思わずお弁当を取り落としそうになった。


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