6:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:10:16.84 ID:R6BWXPqh0
「そこで、社長は二択を出したんです」
「二択……」
「ええ、簡潔に言うと夢をとるかあなたをとるかの二択を……」
7:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:11:11.09 ID:R6BWXPqh0
「あなたは……どう、したいんですか?」
本当は聞く必要もない質問を投げかけました。
ほんの僅かな期待を乗せて。
8:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:12:00.75 ID:R6BWXPqh0
聞いた途端、胸にドンッとハンマーを叩かれたような衝撃でした。
鈍い心の痛み、一呼吸すら忘れるほどに私は動揺したのです。
「……もう、戻れないんですか?」
9:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:12:36.28 ID:R6BWXPqh0
頭を抱える彼に私は……。
……最初からこんな結末になると心のどこかで思っていたのかもしれません。
あなたの想いは恋愛だけじゃなく、自分の夢に進むことにも注ぎ込んでいましたから。
どちらを取るかわかっていたはずなのに。
優しくしてくれるあなたに私は甘えていたんです。
10:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:13:22.54 ID:R6BWXPqh0
「私があなたに夢を与える番ですね……」
「……え?」
「夢を、追いかけてください、このチャンスを逃したら、あなたはこれからの生涯後悔することになると思います」
11:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:14:41.74 ID:R6BWXPqh0
「……ラッキーでしたね、そうです、ラッキーだったんですよ」
彼に会えて私はラッキーだった、それは間違いない。
これ以上にない場違いなセリフだったと思います。
そんな私に彼は優しく、哀しく微笑んでいました。
12:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:18:43.57 ID:R6BWXPqh0
「……自分だけを責めないでください」
彼に抱きつき絞るように声を出す、温もりを感じる事がこれから先ないのかもしれないでしょうから……。
「楓さん……」
13:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:19:47.45 ID:R6BWXPqh0
「……ごめん、楓さん」
彼の手が頬に触れ、瞳から流れているものを指で優しく拭ってくれました。
「俺、……行きます」
14:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:21:10.65 ID:R6BWXPqh0
あの時の私たちに想いを返して。
夢を夢で終わらせないために、私はただただ前へ歩いていこう。
いつか、彼と笑いながら再会するその日まで。
15:名無しNIPPER
2016/02/16(火) 23:22:39.76 ID:R6BWXPqh0
という、お話でした。
短いですね。
あ、ちなみに私は綾瀬さんPです。
16:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 00:17:02.13 ID:ra+D3MZuo
乙
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