過去ログ - 灰色の世界に彩りを！ -SS速報VIP

過去ログ - 灰色の世界に彩りを！

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2:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:15:23.08 ID:E+Y7UT9W0
暫く手鏡を見つめていた男は、深く息を吐いた。

男は手鏡を仕舞うと、金属製の柵に手を掛ける。その金属の冷たさに男は動じることなく、柵を越えた。

視線を下げると、遥か下に灰色の地面が見える。一歩踏み出せば、男の人生は間違いなく終わるだろう。

以下略

3:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:18:27.64 ID:E+Y7UT9W0
突然、背後から無機質な声が聞こえた。だとというのに、男は動じず、振り向かずに答えた。

「そうなのかな、僕には分からないよ」

「空は瑠璃色で、地平線へ近づく程朱色になる。昼間は見ることもできない太陽も、今じゃ姿を現し、白く見えるね。温かくて、だけどどこか寂しさを覚える、綺麗な夕日だよ」

以下略

4:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:20:02.32 ID:E+Y7UT9W0
男は家族と卓を囲み、夕食を食べていた。いや、家族なのかもはや分からない。

「今日は学校楽しかった？」

のっぺらぼうが、無機質な声で男に尋ねる。

以下略

5:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:23:00.88 ID:E+Y7UT9W0
翌日、再び男は学校の屋上に立っていた。
死に場所に学校の屋上を選んだのは、夕日のせいだろう。

柵を乗り越えると、再び背後から声がかかる。

以下略

6:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:25:02.54 ID:E+Y7UT9W0
いつからだったか。
男の見る世界は灰色になっていた。

子供の時は確かに、色があったはずだ。
世界が輝いて見えたはずだった。

以下略

7:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:29:20.72 ID:E+Y7UT9W0
男の語った内容に、女は首を傾げた。

「私には、暗くぼやけた灰色な世界になんて見えないけどなあ。むしろ眩しくって困っちゃうよ」

暫く女は考え込む仕草をした後、よし、と呟いた。

以下略

8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:31:26.98 ID:E+Y7UT9W0
翌日土曜日。
男は休みなのに学校の正門前に立っていた。
無理やり集合させられたというのに、肝心の人物はまだいない。

「ごめーん、待った？」

以下略

9:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:32:22.43 ID:E+Y7UT9W0
「今、笑ったでしょ？」

　今までふざけていたのに、急に真面目になる女。

「笑った……？　僕が？」

以下略

10:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:35:33.10 ID:E+Y7UT9W0
「君の趣味は？」

「ない」

「君の好きなものは？」

以下略

11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:36:43.34 ID:E+Y7UT9W0
先ほどから、驚くほど会話が進まない。
男は会話のキャッチボールをする気がないのだろうか。

「ちょっと、ちゃんと聞いてる？」

以下略

12:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:38:20.81 ID:E+Y7UT9W0
通学路を、ぶらぶらと歩く二人。

「この辺は電柱だらけだねえ。ねねっ、電柱って中どうなってるか知ってる？」

「知らない」

以下略

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