過去ログ - 【艦これ】提督「こんな夢を見た」【夢十夜】
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1: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:00:17.95 ID:aknJ+CP+0

　【第一夜】

こんな夢を見た。

俺は腕組をして座っている。俺の前では、幼さを残した顔立ちの女が、布団に横たわっている。普段は二つ結いにしている髪をほどき、枕に敷いて、細く息を吐いている。

「もう死ぬぞ」

女が静かにそう言う。白い肌には微かに血の色が差し、唇も瑞々しく、とても死にそうには見えないが、女は静かに、だがはっきりと、死ぬと言った。

「そうか、もう死ぬか」

俺も、これは確かに死ぬな、と思ったので、女の顔を覗き込みながら聞いてみた。

「うむ、死ぬ」

女がぱっちりと目を開け、俺を見つめ返す。黒曜石のようなつやと深みのある真っ黒な目に、俺の姿が映し出されている。

その目を見て俺は、これでも死ぬのかな、と思い返し、女の耳元でまた聞いた。

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2: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:01:32.36 ID:aknJ+CP+0

「死にはせんだろう。……大丈夫だろう？」

「死ぬのじゃから、仕方あるまい」

以下略


3: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:02:47.32 ID:aknJ+CP+0

「そうさのう……。日が出るじゃろう。それから沈むじゃろう。また出るじゃろう。また沈むじゃろう。赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに……待っておれるか、お主？」

俺は黙って頷く。

以下略


4: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:04:14.34 ID:aknJ+CP+0

俺は庭へ下り、言われた通り航空甲板で穴を掘った。カタパルトは至極快調な様子であったが、カタパルトが好調であろうが不調であろうが、もはや意味のないことであった。

しばらくして穴が掘れたので、女をその中に入れた。そうして柔らかい土を、上からそっとかけた。その間、カタパルトが意味もなく機械音を立てていた。

以下略


5: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:05:32.55 ID:aknJ+CP+0

こうして何度も何度も、繰り返し繰り返し、赤い日が昇って行くのを見、頭上を過ぎるのを見、沈んで行くのを見て、その回数を数えたが、百万年はまだ来ない。

いつの間にか、墓石には苔が生している。俺は、女に騙されたのではないかと思い始めた。

以下略


6: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/19(金) 00:06:47.94 ID:aknJ+CP+0



そこで目が覚めた。

以下略


7:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 00:09:01.31 ID:t5HObplpo
ふむ

8:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 01:21:12.93 ID:TFDpZ38wo
乙なのだわ
この感じ……良い……

9:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 01:36:08.58 ID:PBcMC5cU0
ちゃんと艦娘の特徴を出してきてるのがいいな

10:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 01:51:52.38 ID:V/TB5NiPO
夢十夜かぁ…学生時代に読んだなぁ

11:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 08:52:10.71 ID:OIADLKPQo
乙
いい雰囲気

12:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 12:17:38.04 ID:tM19fSkJo
死ぬと快調になるカタパルトって事は体調のバロメーターだったのかカタパルト・・・

13:名無しNIPPER[sage]
2016/02/19(金) 12:22:19.65 ID:YmQfZdudO
不調の間は安心か
乙

14: ◆GFAFNejGqE[saga]
2016/02/20(土) 00:00:47.34 ID:2LzNjJtF0

　【第二夜】

こんな夢を見た。

以下略


15: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/20(土) 00:02:40.36 ID:2LzNjJtF0

壁際に据えてある置時計が次に鳴るまでには、何らかの解決法を見出してみせる。そうして、彼女の身柄と自分の身柄とを引き換えにするのだ。

解決法を見出せなければ、彼女の無事が保障されぬ。何としても思いつかねばならない。自分は提督である。

以下略


16: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/20(土) 00:04:55.28 ID:2LzNjJtF0

血が出そうなほど唇を噛む力を強め、鼻息は次第に荒くなるのに任せる。閉じた目にもさらに、目玉を潰そうというくらいぎゅっと力を込める。

まぶたの裏に軸の文字が浮かび、ランプの明かりが浮かび、壁の絵が浮かび……一番大きく女の顔が浮かんだ。いつものようなきつい声色まで聞こえるようだ。

以下略


17: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/20(土) 00:06:36.46 ID:2LzNjJtF0

突如、置時計がボーンと鳴った。はっとして拳銃に手を伸ばす。が、確かにそこにあるはずの拳銃がない。やはり全てが胡蝶の夢だというのか。

もう一度置時計がボーンと鳴った。かっと目を見開く。女が私の拳銃を手にして立っていた。

以下略


18: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/20(土) 00:08:34.05 ID:2LzNjJtF0



そこで目が覚めた。

以下略


19:名無しNIPPER[sage]
2016/02/20(土) 00:20:07.09 ID:mSkdAnb+0
おつー
夢十夜読み直したくなった

20:名無しNIPPER
2016/02/20(土) 21:58:53.42 ID:J1g0Ibd10
一夜づつ公開していくスタイルか
いいね

21:名無しNIPPER[sage]
2016/02/20(土) 21:59:30.58 ID:UEFe7Z3pO
更新じゃねえじゃねえか[ﾋﾟｰｰｰ]

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