過去ログ - 【艦これ】提督「こんな夢を見た」【夢十夜】
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69: ◆GFAFNejGqE[sage saga]
2016/02/27(土) 00:01:27.76 ID:cnIJVxkn0

夜になって世間が静まり返ると、女は帯を締め直し、手入れだけは行き届いている弓を背にかけて、そっと警備府を出て行く。娘は布団でうとうとしかけた頃に女が出て行く音を聞き、これもまたそっと女を追いかけるのだった。

警備府から大通りへ出て右手へ。長い通りを真っ直ぐ真っ直ぐ南へ下ると、左手にこんもりした土山が二つ見える。それを過ぎると鳥居が見えてくる。鳥居を潜<クグ>って参道を進み、小ぶりだがいかにも由緒のありそうなお社に参る。

女はお社の前に立つと、まず懐から菓子やら折鶴やら、姉たちの好きであったものを、心を込めて手ずから作ったものを供える。そうしてしゃがみ、柏手を打つと、一心不乱に姉たちの無事を祈るのである。

女が思うには、ここに祀られているのは武の神であるから、こうして強く祈っておれば、戦場へ行った姉たちが無事に帰らぬことのあろうはずがない、というのである。

娘は遠くからついて来て、ずっと女の背を見ているのだが、女が身じろぎ一つせずひたすらに祈る段になると、その側へ近寄ってくる。そうして止めようのない涙を流すのである。

娘が泣くと、女は振り返って娘の手をさするのだが、娘はどうしても泣き止まない。女は片手で娘の手をさすり、もう片手で己の胸元をぎゅっと握って、容易に立とうとはしない。


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