過去ログ - 少年「ぼくんちに勇者様が一泊した」
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:45:46.58 ID:gNZNa3Oko
勇者様の表情はひどく頼りなかった。
見られちゃいけない場面を見られてしまった……そういう顔だったのは確かだった。
だけどすぐにいつもの勇者様の顔に戻ってくれた。
12:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:48:29.04 ID:gNZNa3Oko
ぼくは勇者様の手を取り、ぼくんちを出て、すっかり寝静まった町を走った。
勇者様もぼくに付き合ってくれた。
「こっちです、勇者様」
13:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:50:48.67 ID:gNZNa3Oko
町外れにある、二つの大きな岩。ここがぼくの目的地。
岩と岩の間にあるわずかなスペースに、ぼくが木の枝を組み立てて、葉っぱや布切れを屋根にして作った、
小さな隠れ家だった。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:54:16.71 ID:gNZNa3Oko
ぼくは勇者様を中に招き入れた。他人を入れるのは初めてのことだった。
友達にだってこの場所は教えてない。
「ここなら、絶対見つかりません! 食料だってあります!」
15:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:57:47.68 ID:gNZNa3Oko
勇者様は笑った。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:01:19.16 ID:gNZNa3Oko
「おかげですっごく気持ちが楽になった。
なんたってこんなとっておきの隠れ家を紹介してくれたんだからね」
勇者様は続ける。
17:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:04:08.26 ID:gNZNa3Oko
二人でぼくんちに戻る頃には、勇者様は完全に英雄の顔に戻っていた。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:06:27.40 ID:gNZNa3Oko
それからというもの、いつ勇者様がやってきてもいいように、ぼくは毎日アジトの掃除をした。
一日も放っておくと、アジトには砂が散らばってるからね。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:08:17.24 ID:gNZNa3Oko
この町を出た勇者様があれからどうなったのかは、まったく分からなかった。
ぼくの町はただでさえ外の情報が入ってくるのが遅い町だったから、それは当然のことだけど。
20:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:11:50.23 ID:gNZNa3Oko
勇者様がぼくの町を訪れてから半年が経った。
やっと、ぼくの耳にも勇者様がどうなったのかっていう報せが入ってきた。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 19:16:23.79 ID:gNZNa3Oko
「勇者様が死んだなんて、死んだなんて……っ! ぼく、信じないっ……!」
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