2: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:48:10.05 ID:mWhgQ1Ab0
P「くれぐれも、切符はなくすんじゃないぞ」
紗枝「きちんとお財布にいれてますえ」
P「かなり昔になるけど、遠出したときに切符なくしちゃったことがあって、駅員さんにこっぴどく叱られたことがあってな……」
3: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:49:56.44 ID:mWhgQ1Ab0
うちの芸能プロダクションは、本社が東京にあって、地方に実家がある娘の為に、プロダクションのすぐ近くに女子寮というものが存在する。
そして、女子寮を利用するアイドルの担当プロデューサーは、一定期間ごとにアイドルの保護者の元に赴いて、そのアイドルの仕事の出来や近況を報告するという決まりごとがある。
これをうちのプロダクションでは、家庭訪問と呼ぶ。
4: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:52:07.54 ID:mWhgQ1Ab0
紗枝「Pはん、お菓子食べはります?」
P「いま出たばかりだろ? もうお腹空いたのか?」
急に自分の鞄を開けたかと思えばそんなことを言うので、驚いた。
5: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:53:50.80 ID:mWhgQ1Ab0
大学生の長期休暇は、想像している以上に長く、そして退屈だった。
しがない学生をしていたころの俺は、惰性的に続けていたアルバイトと飲み会のループを断ち切ってなにを思い立ったか、ある日旅に出ることにした。
貯金をおろして、着の身着のまま電車に乗った。行き先もよく確認せず、行ける所まで行こうと思った。
6: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:55:42.41 ID:mWhgQ1Ab0
紗枝「Pはんが旅行先としておすすめしはるなら、どこ挙げはります?」
俺はいま食べている歌舞伎揚げをのみこむまでの間に、自分の記憶を参照した。
どこであったとしても、それなりに楽しめたように覚えているが。
7: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 22:57:18.11 ID:mWhgQ1Ab0
P「なんでだよ、京都はいいところじゃないか」
紗枝「へえ。そうどすか?」
彼女のその言葉には、否定的なニュアンスが見え隠れしていた。
8: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 23:00:32.54 ID:mWhgQ1Ab0
紗枝「あすこは周りが山に囲まれた盆地やさかい、夏は暑いわ冬は寒いわ、しんどいし」
紗枝「年中どこかしらで道路工事してるから、うるそうてかなわんとこどすえ」
9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 23:03:24.68 ID:mWhgQ1Ab0
紗枝「もう。すぐそうやって誤魔化さはる」
口調は穏やかではなかったが、満更でもないといった表情だった。
10: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 23:07:29.15 ID:mWhgQ1Ab0
そう言って思い出すのは、小さかったころのこと。それも決まって、夏の暑い日。
親が湯がいてくれた素麺と、きんきんに冷やした西瓜。
11: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/24(水) 23:08:34.42 ID:mWhgQ1Ab0
紗枝「なんやPはん、先生みたいやね」
P「俺がか? ないない」
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