20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:09:30.76 ID:w8NXKRp60
「うん、よろしく……ところで君、ドーナツは好きかい?」
呆気にとられてつい顔を上げると、担当だと名乗った男が自分の座るデスクの上を指差す。
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:10:06.88 ID:w8NXKRp60
「うちのアイドルがさ、差し入れだって持って来たんだけど……さすがに一人でこの量は食べられなくってね」
「あ、あの……私の話は、聞いてましたか?」
22: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:10:50.16 ID:w8NXKRp60
これまでも迷惑がられたり、異様なほど気を使われたり、そもそもまったく相手にしてもらえなかったり……
移籍の度に様々な対応を受けてきたほたるだったが、目の前のこの男のように、いきなりドーナツがどうとか
23: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:11:50.63 ID:w8NXKRp60
「それって、私をからかっているんですか?」
不真面目な男。それが、ほたるがPに抱いた第一印象。馬鹿にされているように感じて、自然とほたるの口調もきつくなる。
24: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:12:21.08 ID:w8NXKRp60
周りから期待されていない事も、厄介者扱いされている事も分かってはいたが、
それでもこうして自分のアイドルに対する熱意を馬鹿にされるような行動をとられると、
25: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:12:54.81 ID:w8NXKRp60
「からかうって……あ! もしかして、クリームの入ったヤツが良かったのかい? うーん、でもあれは俺も好きだから――」
「ど、ドーナツの話じゃないです! 私の事をそんな風にからかって楽しいですかっ!?」
26: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:13:23.00 ID:w8NXKRp60
最後の方になると少し泣きそうになっていたが、なんとか自分の思った事をまくし立てると、
その気迫に圧倒されたのか、男もドーナツを持ったまま黙り込んでしまう。
27: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:14:58.69 ID:w8NXKRp60
「えっと、ほたるちゃん……でしたか? その人、別にあなたに辞めて欲しいだなんて思ってませんよ」
そして、やれやれという風に首を横に振ると、話を続けた。
28: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:16:09.52 ID:w8NXKRp60
「そ、そうそう! ちひろさんの言うとおり、別に君を馬鹿にしているとかそういうのじゃなくて」
「ただちょっと……暗い顔をしていたから、甘い物でも食べて、元気になってもらおうと思ってさ」
29: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:16:42.08 ID:w8NXKRp60
そうしてそのまま言い争いを始めた二人を、ほたるがぽかんとした表情で見つめる。
一体この人達は何を言っているのか。私の噂を知らないのか、それとも知っているのに知らない振りをしているのか……。
30: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 12:17:21.40 ID:w8NXKRp60
どうやら一方的に言い負かされた様子の男が、無理やり話題を戻すとそう言ってほたるに向かって右手を差し出してきた。
ほたるがおずおずとその手をとると、男が力強く握り返す。
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