52: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:44:14.29 ID:w8NXKRp60
「悪いけど……ちょっと持ち上げるぞ」
言うが早いか、Pがほたるを抱え上げ、そのままベットの上へゆっくりと横たえる。
53: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:45:08.70 ID:w8NXKRp60
「ほんとに、本当にごめんなさい……お仕事だってあるのに……」
毛布から顔だけを出したほたるが、今日何度目かのごめんなさいを口にする。
54: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:46:02.73 ID:w8NXKRp60
とはいえ、このままここでじっとしているわけにもいかない。
Pはポケットから携帯を取り出すと、事務所へと電話をかける。
55: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:46:58.59 ID:w8NXKRp60
「お、おい……どうした? どっか痛むのか?」
電話を終えたPが、ほたるを見て心配そうに声をかける。
56: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:48:40.01 ID:w8NXKRp60
おろおろしながらそんなほたるを見下ろしていたPだったが、
やがてベットの横に座ると、彼女の頭にそっと手を置く。
57: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:49:42.98 ID:w8NXKRp60
「収録先、屋外だったろ? 今日の雨のせいで収録できなくなったって、事務所に連絡があったらしいんだ」
「だいぶ前から伝えようとしてたって言うんだけど、
58: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:50:30.93 ID:w8NXKRp60
とりあえず、目の前の心配事が一つ減ったほたるは、ふと、ある事を思い出す。
「さあってと……そろそろおばさんも帰ってくるだろうし、そうしたら俺も一度、事務所に戻らなくちゃあ」
59: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:51:40.26 ID:w8NXKRp60
Pが帰ると言った途端、なぜ声をかけたのか。分かっていたが、実際にその気持ちを言葉にするのは、少し恥ずかしい。
「いえ……やっぱり……なんでも……ないです」
60: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:52:15.68 ID:w8NXKRp60
余りに突然の出来事に、取っ手を手に持ったままPがほたるの方に振り返る。
だが、彼女自身も信じられないといった表情だ。
61: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:52:57.92 ID:w8NXKRp60
その時、Pの直感が、脳裏にある仮説を浮かび上がらせる。
それは、現実的に考えて余りにも突拍子が無い物で……。
62: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:53:44.47 ID:w8NXKRp60
Pの質問に、ほたるが不思議そうに答える。だが、たずねるPの顔は真剣そのものだ。
「その……変な意味じゃないんだけど、俺がお見舞いに来なくって、どう思った?」
63: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:54:17.36 ID:w8NXKRp60
すると、ほたるが毛布を口が隠れるほどまでに引き上げて、恥ずかしそうに顔を隠す。
そして視線を左右に泳がせた後、やがて観念したように答えた。
64: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:54:43.83 ID:w8NXKRp60
「――あ、もしもしちひろさん? 俺です、Pですけど」
「はい、はい……それなんですけどね。実は、どうも俺まで風邪を貰っちゃたみたいで」
65: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:55:16.05 ID:w8NXKRp60
電話を切ったPがほたるの方を向いて、いたずらっ子のように微笑む。
「――ってなわけで、俺も今日のお仕事はおしまい」
66: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:55:48.78 ID:w8NXKRp60
「この前お見舞いに来れなかった分も合わせて、今日はしっかり看病させてもらうよ」
「そ、そんな……ダメですよ! 私なんかのために……」
67: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:56:27.91 ID:w8NXKRp60
「これもきっと一つの……不幸の形、なんだろうなぁ」
「……良くは分かりませんけど……でも、プロデューサーさんと一緒にいられるのは……ちょっと嬉しい……です」
68: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:58:00.67 ID:w8NXKRp60
――世の中には、どうにもついていない、いわゆる「不幸体質」と呼ばれる人間がいるが、
彼女、白菊ほたるほどその言葉がぴたりと当てはまる者もいない。
69: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/02/26(金) 19:58:29.37 ID:w8NXKRp60
皆、ほたる可愛いよほたる。
事務所が倒産したからこそPと出会えたように、
70:名無しNIPPER[sage]
2016/02/26(金) 20:03:58.15 ID:fbUO9QCDO
ほたるは可愛い、幸せにしたい
乙
71:名無しNIPPER[sage]
2016/02/26(金) 21:38:38.10 ID:YhewyZDWo
乙乙。
よかった。コンビニから出たPがほたるの目の前でトラックにはねられてPヘッドがIヘッドになるかと思った
72:名無しNIPPER[sage]
2016/02/27(土) 06:27:35.10 ID:XsXZzFfjo
乙
担当の魅力伝わったぞ
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