過去ログ - 囁かれる名前は
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11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 18:58:49.31 ID:887tizks0

 ……私だって、二人の言っている事が冗談だってことくらいわかってる。でも、冗談とはいえ自分の好きな人にこんな事を言われたら、顔が熱くなってしまうのはどうしようもないんじゃないかな……。


 私は自分の気持ちを真ちゃんはもちろん、晴菜ちゃんにも秘密にしていた。晴菜ちゃんに相談すれば応援してくれそうな気もしたけど、なんとなく今の三人の心地よい関係が消えてしまいそうな気がしたから……。

 だからっていつまでも真ちゃんに自分の気持ちを伝えないでいても、真ちゃんの方から私に告白してくれる可能性なんてほとんど無いのもわかってた。

 真ちゃんが恋愛に興味が無さそうだし、それに何よりも、真ちゃんは私をそういう対象として見てくれていない。真ちゃんは勿論私が異性だってわかってるけど、それよりも“幼馴染”という印象の方が圧倒的に強いみたいだった。

 ほとんど家族同然に育ってきた私たち。だからこそ私は恋愛対象として真ちゃんの視界には入れない。いつも一緒にいるからそれが嫌というほど伝わってきてしまう。

 私から気持ちを伝えない限り、真ちゃんと私の関係はずっとこのままのような気がする。……でも、それがわかっていても……私はもう何年も真ちゃんに自分の想いを伝えられていない。

(せめて真ちゃんが恋愛に興味を持つまでは……)と自分に言い訳をしてきたけれど、本当はそんな事はたいした理由じゃなかった。

 ただ私は怖かったんだ。自分の気持ちを伝えて真ちゃんとの関係性が崩れてしまうのが。もし告白しても真ちゃんにはその気がなくて、これまでみたいに隣にいられなくなると思ったら……そんな日常は想像したくもなかった。

 臆病な私にとって、真ちゃんが恋愛に興味が無いのは救いでもあった。真ちゃんに恋人ができなければ私にもまだ可能性があるって、そう思えるから。

 自分から行動しない限り可能性はずっと可能性のままだって知ってるのに、現状維持に縋り付こうとする私はどうしようもない臆病者だった。


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