17:名無しNIPPER[saga]
2016/02/27(土) 20:28:20.80 ID:887tizks0
大学生活三年目も半ばを過ぎて、枯れ落ちた紅葉が通学路の石畳を彩る頃、その電話のベルは鳴った。
時刻は二十三時前。携帯のディスプレイには真ちゃんの名前が表示されている。
こんな時間に真ちゃんから…?……どうしたんだろう…?
眉を顰めながらも携帯電話を手に取って通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「あ、○○由紀さんですか?」
聞こえてくる声は真ちゃんとは全く別のものだった。
続けて聞こえてくる話を聞いていて、その人物は大学の最寄り駅にあるバーの店員さんだと判明する。
なんでバーの店員さんが真ちゃんの携帯電話を…?
その疑問はすぐに解消された。話の経緯はどうやらこういう事みたいだ。
真ちゃんは一人でバーを訪れて泥酔してしまった。店員さんがその様子を確認した時には既に呂律も怪しくなっていて、とてもじゃないけど一人で帰れそうにない。そこで店員さんは真ちゃんに誰か迎えに来てくれる人がいないか尋ねたところ、私の名前が出てきたようだ。電話をかけるところまでは真ちゃんがしたけれども、とても状況説明できる状態じゃないので店員さんが代わりに通話しているらしい。
幼馴染がお店に迷惑を掛けている状況に、私は呆れるよりも先に心配になった。真ちゃんはお酒に強くない。あまり好んで飲むタイプでもない。ましてや、一人でなんて尚更だ。
もしかして、お酒を飲まずにはいられないような何か辛い事でもあったのかも……。
不安に駆られた私は店員さんにお店に行く旨を伝えて、部屋着を着替え家を飛び出した。
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