23:名無しNIPPER[saga]
2016/03/13(日) 18:15:51.41 ID:MOoPfZcj0
P(結果、皆は、『よくやっていた』。美希も響も貴音もそうだった。3人の仕上がりに文句はない。このまま本番に出せれば間違いなく『使える』だろう。恐らくトレーナーさんも俺と同じ感想のはずだ)
P(だがそれは。『このまま』出せたらの話だ――貴音の表情は最後まで精彩を欠き、その『くすみ』が影響するのは時間の問題のように思われた)
P(ビジュアルに露呈(で)るか、それともボーカルかあるいはダンスか、それは分からない)
P「まずはお疲れ様。短い時間でよくここまで仕上げてくれたな。で、細かいところを言うとだな……」
P(口では美希や響への指摘ばかりになったが、意識ではずっと貴音を追っていた)
P「美希は、BからCに移る時に毎回足元を見てるな。そろそろ視線を変えないままいけないか?」
P(二人への指導の最中、ふと貴音を盗み見ると必ず視線がぶつかって、内心焦りながら平静を装った)
P「響はいつもどおり、ダンスに関しては満点だ。うん、照れるな照れるな。でも全体的には……」
P(その時の貴音は――『何か』を言ってもらいたいのが目に見えていて、それで何も言わないのも逆に不安を加速させるだろうから、彼女にも当たり障りのないことをいくらか言ったような気がする)
P(『そこじゃない』と思っていながら、違和感を形容できない以上ヘタに口にすることも憚られ)
P「……あと、あまり気負い過ぎないようにな。三人とも、落ち着いて出来ればいい」
P(そうして、根本的なところを何も解決できないまま、俺はレッスン場を後にした)
P「歯痒いな……というか、不甲斐ないな」
P(彼女たちがすっかり成長してしまった今、久しぶりに味わう『何もしてやれない自分』という痛みは、殊の外堪えた)
「…………」
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