過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―3―
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638: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/04/28(木) 23:55:11.64 ID:x8COVavw0
◇◆◇◆◇







「あの、エポニーヌ」
「なに、フォレオ」
「……その、ごめんなさい」
「だから、何をあやまってるのよ」

 あたしはできる限りとぼけたままでいる。というか、ここでとぼけておかないといけない。家屋の中から父さんが見ていようものなら、何を言われるかわかったものではない。だから、あえて恍ける。たぶん、万全を喫した作戦だから、大丈夫だとは思うけど、あたしも少しだけ体の調子を確認する。走れないという最悪のアドバンテージに目をつぶれば、それなりに動けるとは思う。フォレオを守るためにできることは、相手の足止めくらいなものだが、それで別に構わない。
 相手が何をしでかしてくるのか、少しだけ興味があるというのも事実で、あたしは再び視線を張り巡らせたところだった。
 握られた手に力が籠り、足が止まる。

「……」

 先を歩くフォレオの視線の先に、これまた種も仕掛けもなさそうな黒装束が六人、ただぱっと見ただけでわかるほどに持っている雰囲気から手慣れであることは予想できる。

「暗夜王国王子レオンの子息、フォレオだな」
「だったらなんだというんですか?」

 フォレオも予想はしていたらしく、声に震えはなかったけど、あたしの手を強く握りしめている。
 やっぱり、怖いものは怖いよねと、あたしは腰に忍ばせておいたナイフに手を添える。最初に現れた盗人とはちがう奴らだ。捕まえるなら今すぐなのだろうけど、今動かれて自決でもされてはかなわないというのが、今回の作戦の方針なのだろう。
 捕まった後は、男の尋問官にイロイロとイイことされるに違いない。

「そうか、では取りかからせてもらう」
「女は?」
「殺して構わん。あの男らしくもない子息は足を斬り落としてもいい、すぐに逃げられぬようにな……。だが、持ち帰れないと思ったのならば、すぐに殺せ」

 見せびらかすように出てくる出てくる。小剣大剣、フォレオは何かを持っているようには見えない、本当に丸腰だ。
 あたしは臣下として役目を果たすために、心の切り替えに入る。この血の一滴に至るまで、主君を守りぬくのがあたしの勤め。心を入れ替え、ナイフを取り出そうとした時、それをフォレオに止められた。

「エポニーヌ……僕に任せてください」


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