過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―3―
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639: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2016/04/29(金) 00:00:57.26 ID:Sr/oS/CP0
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 フォレオはとても凛々しくそう言ってくれる。今のあたしができることは足を止めて戦闘することだけで、実質生存は考えていない。でも、フォレオの目には二人とも生き残れる算段があるようだった。というよりも、未だに姿を現さない他の皆のことを考えれば、たぶんそうしないと作戦が成功しないのだろう。

「……わかったわ」
「……ありがとうございます」

 そうしてフォレオが静かに腕を捲って、次の瞬間にあたしをお姫様だっこした。ってあたし……お姫様だっこされてる!?

「エポニーヌ、首に手を回してください」
「え、ええ」

 言われるがままにそうすると、フォレオは来た道とは違う路地へと足を進める。どうやら、逃げるというのが今回の作戦における重要点らしかった。
 少し遅れて黒装束のかけ足が聞こえてくる。フォレオはというと、あたしをもって走っているのに、なんら気にしていないような雰囲気だ。あたしの中のフォレオのイメージじゃないわ。

「な、なんでこんなに走れるの!?」
「ちょっと、魔法で一時的に身体能力をあげてるだけですよ。その、いつもはこんな風にエポニーヌを抱きあげられませんから」
「ドーピングってことね」
「そ、そう言われるのはなんだか、でも、お父様が手伝ってくれたんですよ。僕にいっぱい教えてくれたんです」
「お、教える……父から子へ、教える。どんな濃厚な時間だったのかしら?」

 そんな時間を考えるという戦いの後の楽しみが増えたところで、あたしはすぐに後ろを確認する。どうやら敵は数人に分かれたようだった。こちらを追い掛けてきているのは二人、残りの四人がどこへ行ったかはわからなかった。

「どうやら、敵さん別れたみたいね」
「そうですか、予定通りですね」

 フォレオの声には安堵が生まれていた。
 次の路地を曲がる。曲がったところで追い掛けてきた二人の動きに再び変化が生じる。
 どうやら、先に見えている路地から仲間が現れ挟撃する算段でもあったのかもしれない。それが来ないということに、罠に嵌められたのが自分たちだと気付いたらしく、少し焦りにも似たものが見え隠れしていた。
 そんな追手を気にせず、フォレオの足は大きな広場へと向かう横道へと入る。そこに多くの暗夜軍兵士が待っているのがわかった。


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