過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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774:1[sage]
2017/01/09(月) 23:28:10.03 ID:kXa9aNQe0


八幡「 ……… それがお前の選択なんだな」


俺の言葉に、葉山はゆっくりと力なく首を振って応える。

葉山「そうじゃない。俺には最初から選択の余地なんてなかったんだ」

臓腑を締め上げるかのようなその声にもし色が付いたとしたら、それは紛れもなく血の赤だった。


八幡「そうか … 」


恐らくは葉山もずっと親によって敷かれたレールの上をただ走り続けるしかなかったのだろう。

誰にでも公正で、わけ隔てなく公平の接する態度は、裏を返せば他人との間に特別な人間関係を構築せず、誰に対しても心を開いていないという証でもある。
常に明るく爽やかに振る舞いつつも時折垣間見せる冷淡さは、期待に応えようとしながらも応えることができない罪悪感と焦燥の裏返しだったのかもしれない。

だが、葉山はその生来の責任感の強さと高潔さゆえに、本人の意思とは関係なく常に周囲から期待され、そうしたポジションを求められ、本人も可能な限りそれに応えてきた。自分の行いが常に嘘と欺瞞に塗れていると知りつつもも、敢えてその役を精一杯演じ続けてきたのに違いない。

ノブリス・オブリージェ。持てる者は持たざるものに対してより多くの責任を負う、だったか。

いつぞや雪ノ下が口にしたそのセリフは、当然、葉山にも当て嵌まっていたのだろう。
それはある意味、他人より抜きんでた才能を与えられた者にのみ架せられる"呪い"のようなものなのかも知れない。




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