過去ログ - 俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』
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991:1[sage]
2017/02/12(日) 13:24:30.01 ID:yhf5+NBv0


海老名「これ、ドーナツもらっちゃったから、代わりにあげる。いわゆる等価交換ってヤツ?」

なんの脈絡もなく、唐突にそう言って俺に向けて差し出されたのは、可愛らしいリボンと透明ビニールでラッピングされた、どこかで見覚えのある市松模様のクッキー。

海老名「こないだ作ったヤツ。余ったからお裾分け」

まるで言い訳のように付け加え、戸惑う俺に半ば無理やり押し付けるようにして手渡す。
彼女の意図もよくわからないまま、俺も黙ってそれを受け取った。


海老名「私、まだ本読んでるから。トレイも片づけといたげるからそのままでいいよ」

既に空になった俺のコーヒーカップと食べかけのドーナツの乗った皿を示す。

話はこれでお終い、ということなのだろう。


八幡「 ………… そうか。じゃあな」

海老名「あ、ヒキタニくんもよかったら試しに読んでみる? いろいろと捗るかもよ?」

八幡「なにそれセクハラ? つか、捗りたくねーし」


苦笑交じりに答えると、ふと、まだ何か言いたげな海老名さんの表情に気が付く。


海老名「でも、さ ―――― 」


ややあって、彼女はやや躊躇いがちに、それでも、ゆっくりと口を開いた。


海老名「本物って、比企谷くんが考えているような崇高で綺麗で光輝いているものなんかじゃなくって、案外、もっと矮小で汚くて、ドロドロしたものなのかも知れないよ?」




どういった光の加減なのか、その言葉を口にする彼女の眼鏡の奥にあるはずの瞳を覗き見ることは叶わなかった。




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