過去ログ - 【凡将伝】どこかの誰かの話【三次創作】
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645: ◆e/6HR7WSTU[sage saga]
2017/03/10(金) 00:28:53.96 ID:RNqiil100
もちょっと続き。>>639からかな?

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まぁ、その、なんだ。皇子からのあれやこれやに無事けりがついた所で、着が迎えに来たを幸いに二人して洛陽郭商会を辞することにした。

《済まんが横紅殿。この先で教えて頂きたいことがあるのですが……》
《はいはい。ただ、私は厳しいですよ?戦場料理なぞという得体の知れないものを食べさせるのなら、質素でもちゃんとしたものを食べさせてあげなさい。
 それが、妻たる者の務めです》

帰りがけに女同士の約束を交わしたのは秘密だ。


「差出がましいようですが、うち(郭商会)の手練れを伴われては?いや太尉様が弱いという訳ではなくて、昼間の連中が潜んでる可能性もありますし」
郭援殿がそう進言するが、
「いや、私とお二方。それに貴様と……高はこっちに来ているか?」
着に考えがあるようで、第三の人物の名を出した。

「居ますよ。大旦那様からお暇出されてこっちに来ましたがね」
「馬鹿を言え。義父上(ちちうえ)が考え無しに貴様を放り出すか。で、いくら連れてきた?」
「そうですねぇ。荒事専門ばかりを30ばかし。黒山賊やら江賊やらと渡り合ってきた奴らだから腕は確かだよ」
「なら、まぁましか」

いつの間に現れたのか、飄々とした空気を纏う結構な美女が着と何事か会話している。
面白いのが、横紅殿がぶすっとした表情で二人の会話を見ている事だ。


「紅。俺がお前を離すと思うのか?そんな事になったら、俺がこの世に居ると思うか?」


その言葉で、横紅殿の周囲に立ち込めていた瘴気めいた黒いものが霧散する。なるほど、互いが本気で惚れているとこんな言葉でも嬉しいものなんだな。

「なぁ」
「はい」
「あんな関係に我らもなれるか?」
「私はなるつもり。いえ、なりましょう。絶対に」
「そうか。私もだ」

「いいけどさ。独り身にゃ、今の空間の方が厳しいんだけどね」
呆れたような高殿の発言に、私も着も我に返る。
「んっ!とにかくだ、高と配下20。私と援。これでお二方を護衛する。どうせ途中からは官軍が合流するからな、それまでは少数の方が身軽だろう」
場の空気を締めるように声を張る着。我等に異存は無い。
「それと、だ」
布袋に入った長細い物を私達二人それぞれに渡す。持った感じはどうやら剣らしいが。
「羽林校尉が丸腰でどうする。無手で惚れた女一人守れる自信あるのかぁ?」
「はは……手厳しいですね。戻ったら、ご指南いただけますか?」
「断る。九卿つうのも暇じゃないんでね。それに北方の守護者の片方に鍛えてもらえ。嫁の実力知っておくのも旦那の務めだぞ」
ふむ、この剣は結構なものだな。というか普段私が振り回している得物をよく覚えているな。
「そりゃまぁ、伊達に付き合いは長くないからな。それに、懐の得物じゃ、ちいと頼ん無いだろ」


「横着さん。いや都水長史殿。貴方は一体何者なのです?」

私との掛け合いをじっ、と見つめていた皇子が真剣な口調で着に尋ねる。だが、着はけろりと、
「ここに居る麹義様、宮殿の田豊様、ここにゃ居ないがもう一人。それに俺。この四人と名も無ぇ奴ら。これが、蛮族共を体張って止めたんだ。
 といっても、俺は蛮族の頭を討ち取る手助けの為にひたすら本陣でぶん殴っていただけ。だがな」
「いいか、お前さんが嫁にする女はお前さんが見込んだ通りイイオンナだ。だがな、お前さんが軽く扱えばそれこそ修羅にもなるオンナだ。それは蛮族共
 が手前の身体つう対価で学習してやがる。
 だから、今は洛陽まで来れるくらいの平和があるんだ。本気で惚れたなら、何があっても死ぬ気いや死んでも離すな。その為にも護る力を手前も持て。
 それは、権力とかじゃねぇ。自分が自分の力で自分一人でも笑って万の軍勢をぶちのめせる、それくらいの気概で力ぁ付けやがれ」
……なるほど。本気で当時南皮一の美女であった紅殿を口説いて口説いて嫁にしただけの事はある。まぁ、凱旋したその場で思い切り引っ叩かれて泣かれていたがな。まるでこの世の終わりのような表情でおろおろしながら土下座していたが。

「とにかく、さっさと戻るぞ。日も暮れる。不利を自ら招く事もないだろう」
着のこの言葉で我々は、郭商会を後にする事となった。



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