311: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:53:15.27 ID:8i5gGj6YO
胡桃はライトを消し、反対側のバリケードまで歩いていった。バリケードによじ登ると、スマートフォンを取り出し音量を最大にして音楽を再生した。太郎丸の足跡がある階段まで戻り、バリケードの上部から反対側をのぞきこむと、“かれら”はスマホから流れる音楽に誘われてバリケードのもとに集合していた。
音楽が流れているせいもあってか、“かれら”の動きは何処となく踊りを思わせるところがあった。その緩慢な動作は滑稽さを感じさせるには十分だったが、胡桃は表情をいっさい変えることなく、二階を通過し一階へ降りていった。
一階部分も二階とさほどかわりなかった。“かれら”が校舎に侵入してくる地点は胡桃が降りた階段から離れており、スマホから流れるポップ・ミュージックが校舎によく響くおかげで、“かれら”は胡桃のいる方向へ来ることはない。
もともと非常避難区域への道すがらにいたものたちは、胡桃がシャベルを振るうと動くのをやめた。だが、そのものたちの血は雨の流れにのって胡桃を追いかけ、やがて追い越し、胡桃が足を踏み入れるべき場所へ先導するかのように地下の暗い穴に吸い込まれていった。
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