312: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:54:58.03 ID:8i5gGj6YO
一階倉庫隅のシャッターが机に阻まれ、七〇センチほど開いている。胡桃がライトをかざすと、犬の足跡が浮かびあがった。足跡は地下へと続いていた。胡桃はシャッターをくぐり抜けた。
地下への通路は灯りがほとんどなかった。頭上にあるいくつかの光源が、避難区域への通路が水浸しになっていることを教えていた。胡桃は通路へと続く階段をおり、“かれら”が潜んでいる場合に備えてサイリウムを一本放り投げた。
サイリウムが水を弾いた音がし、床から跳ね転がっていく。緑色のぼうっとした灯りがわずかに拡がり、沈黙もあたりに拡がった。
胡桃がサイリウムのところまで移動しようとしたとき、暗闇のなかから水音がした。それは規則正しく同じ間隔で続き、だんだんと胡桃に近づいてきていた。何者かが暗闇からこちらにむけて歩いてくる音で間違いなかった。
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