過去ログ - ゆき「亜人?」
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313: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:56:19.68 ID:8i5gGj6YO
胡桃は柱に身を隠した。足音から察するに“かれら”ではなく、“かれ”または“かのじょ”であることは明白だった。胡桃は、いままでと同じようにシャベルを振るえば“かれ”または“かのじょ”はすぐに動かなくなると思った。むしろ胡桃が心配したのは、自身のことより太郎丸のことだった。太郎丸がこの人物、かつてひとだったものに遭遇していなければいいと願った。


足音がサイリウムの側まで近づいてきた。いまだ緑色の光を放つそれが、足音の正体を照らした。その正体は“かのじょ”だった。


“かのじょ”を見た途端、胡桃の目は見開かれ、極度の混乱と恐怖が襲ってきた。悪態をつきながら、異常に高まってくる動悸に胸を押さえる。しゃくりあげるように疑問の声をあげる。直後、胡桃は柱から飛び出し“かのじょ”にむかってシャベルを振り上げた。なんでだよ!と苦悶に等しい叫び声をあげながら。


だが、胡桃はすぐに動きをとめた。それは胡桃自身が命じたものなのかは定かでなかった。“かのじょ”は変わり果てていたが、“かのじょ”だった。“かのじょ”が腕をあげるようすは、ぎこちなく、操り人形よりも不自然な動きだった。“かのじょ”は、手のひらが頭上を越えたところで腕をあげるのをやめた。すこしの停止時間があった。胡桃も“かのじょ”も、わずかな時間静止していた。


そして、“かのじょ”だけが動いた。“かのじょ”の手は、きわめて正確に、胡桃にむかって振り下ろされた。


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