401: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/29(水) 01:51:55.08 ID:EQkrOitQO
ーー某所
ヘリコプターに乗り込んだのは、四人の隊員たちだった。彼らは防毒マスクとヘルメットで顔を覆い、特殊繊維で出来たボディアーマーで全身を包んでいる。全員が拳銃を装備し、それぞれ二名ずつ小銃と短機関銃をかかえている。そのほかにはサプレッサーと光学照準器、折りたたみ式の担架、弾薬、発炎筒、そして麻酔銃が隊員たちの装備品だった。
基地の方向から一名、ヘリに近づく者がいた。ヘルメットとマスクは隊員たちと同じだったが小火器は持たず、迷彩服の上に薄いベストを羽織っているだけだった。彼はヘリコプターの操縦席に乗り込むと安全帯で身体を固定し、乗員である隊員たちに離陸を告げた。
隊員たちが身体を固定したのを確認すると、操縦士はメインローターを回転させ機体を浮遊させた。発進するヘリコプターの操る操縦士は、機体が安定すると懐ろから一通の手紙を取り出した。その手紙には、これから彼が隊員たちを送り届ける経緯度が書かれていた。操縦士は手紙を裏返した。
手紙には四人の男女の絵が描いてあった。四人の周囲には星が輝き、くまのぬいぐるみのようなキャラクターも添えられている。そんな子どもが描いたようなその絵の上に、“わたしたちは元気です。”という言葉が書かれていた。その言葉を書き付けたのは、絵を描いた者と同一であろう。
空から見下ろす街に灯りはなく、星の光だけがよく見えた。操縦士は手紙をしまうと、操縦に集中した。投光器が浮かべる街の残骸を手掛かりに、ヘリを手紙に書かれた経緯度にむかって進めていく。
彼らの目的地は、手紙が出された場所、私立巡ヶ丘学園高校だった。
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