過去ログ - ゆき「亜人?」
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444: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/20(水) 23:57:01.44 ID:uByMCkSUO

胡桃は熱さを感じることもなく、ひたすら“かれら”を終わらせる作業に没頭していた。爆発の衝撃で、身体が傷んでいてもおかしくなかったが、胡桃はそれも感じることはなかった。ただ、どうしようなく疲れていた。目の前にひろがっているのは、炎と死者しか存在しない地獄のような光景だった。地獄に終わりはない。死者に刃を振り下ろせば振り下ろすほど、新たな死者たちが列に並ぶ。いい加減歩くのに疲れてしまったから、眠らせてくれよと頼みにきているかのように。死者たちの権利は、生者のそれよりあらゆる面で優先される。

胡桃はまた死者にむけてシャベルを振るう。シャベルの刃先は頬を裂き、顎の左側を切り落とした。だが、死者の歩みはとまらなかった。シャベルを口に入れたまま、胡桃にむかって近づいてくる。かちん、と刃先が骨にあたった音がした。シャベルの刃は、後頭骨の真下に滑りこんでいる。

胡桃は、一瞬身体を落とし、全身のバネを利用して宙に飛んだ。両手でシャベルを掴んだまま、前方に倒れこみ、シャベルを咥えたままの死者にぶつかっていく。肉が地面に打ち付けられた音。地面に倒れた両者はどちらもすぐには動かなかった。数秒して、胡桃がむくりと上半身を起こした。シャベルのグリップに手を置いて身体を起こしたため、刃先が跳ね上がり、その勢いで死者の顎から上の部分がポーンと飛んでいった。


胡桃「ゼェー……ッ……ゼェー……ッ……」


呼吸するのも、限界だった。胡桃は首を横に回し、駐車場の現状を確認した。胡桃は、ここは渦の中心なのだ、と思った。死者を吸い込む地獄の渦。それが、わたしたちの学校のにできている。

渦は一向に弱まる様子をみせず、炎によってその勢力を増大させている。それはつまり、死者たちの数が増え続けることを意味していた。

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