489: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/08/10(水) 23:09:42.41 ID:xQt0KHc3O
シャッターは閉まりきっておらず、わずかに隙間があいていた。由紀はとくに考えもせず手を伸ばしシャッターに触れてみると、素手ではとても触れられない程の高温におもわず手を引っ込めた。手に息を吹きかけ、やけどしてないことを確認すると、バットの柄を隙間に差し込み、ほじくりながらシャッターを開けようとする。
かりかり、という無駄ともおもえる作業の音がする。シャッター部分と地面のコンクリートが金属バットによって擦られている。涙ぐましい擦過音がすこしの間響いたあと、突然、シャッターがガタガタと揺れ出した。
由紀「!?」
由紀「え?」
揺れは、外にいる何者かがシャッターを開けようとしているために発生していた。突然の事態に、由紀はとっさたシャッターから離れた。そのとき、持ち上げた右手が高温のシャッターに触れ、由紀の手に痛みを与えた。
由紀はシャッターの側から一歩引いたところで立ち止まり、深呼吸すると、バットを身体の前で構えた。シャッターの隙間が広がり、高温の戸が持ち上げられる。由紀はバットを両手で持ち上げた。そのとき、おもわず両目をつむってしまっていたので、シャッターをくぐり抜けた者たちの姿は由紀の目に入らなかった。
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